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「桜の吉野」から新たな銘品を - 天然のサクラの香り水「吉野さくら水(すい)」

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天然のサクラの香りを抽出した「吉野さくら水」

 吉野川沿いの国道169号線より少し反れた高台にあるココ吉野(吉野町)。この場所で、吉野で暮らす3人の女性が、吉野生まれの新商品「吉野さくら水」の製造販売をスタートしました。

 

 メンバーは、代表の宮谷アクシアク尉久子さん、亀田榮子さん、木下茉実さんの3人。年齢も経歴もバラバラの3人が、サクラの香りの天然香料「吉野さくら水」を製造販売するため、昭和9年築の古民家を製造所として改装し、2021年6月に起業しました。

 

高台にある製造所からは吉野川を望むことができる=吉野町立野のココ吉野

 

 

 「吉野さくら水」は、サクラの葉から香りを抽出した天然の香料です。天然成分なので、食料品や化粧品の原材料としても使用できるのが特徴です。

 

 サクラの香りの成分は「クマリン」という成分に由来しますが、非常に水に溶けにくいことから、これまで天然のクマリンを抽出することは難しいとされていました。

 

 クマリンは、サクラの葉に多く含まれ、食品に使用する場合は、サクラの葉を塩漬けしたものを主に使っていますが、塩が壁となって使用しづらいこともあります。

 

 さらに、化学合成したクマリンは食品への使用が禁止されているので、現時点で食品に使われているサクラの香りは、バニラなど似た香りの成分が使われていて、天然由来のサクラの香りはありませんでした。

 

 天然のサクラの香りを水に閉じ込める製法は、さまざまな企業などと共同研究を手掛けている研究者の宮谷精二さんが発見。以前吉野に滞在していた縁もあり、その製法を3人が引き継ぎました。

 

 3人は各自別の仕事を持ちながら、それぞれの得意分野を生かしてココ吉野の運営しています。代表の宮谷さんは書類作成や会計など事務を担当。亀田さんはより良い吉野さくら水を製造するための製品管理を、木下さんはデザインや広報を担います。

 

 吉野さくら水の製造は、サクラの木の種類や、葉の採取する場所の違い、時期の違いのほか、抽出時の気温や湿度などによって香りの質が異なります。そこで、使ってみたいという事業者に対して、その商品に合った吉野さくら水を提案するなどしながら、少しずつ販路を広げています。

 

 現在は近隣の事業者へ販売していて、クラフトビールや食パン、ピクルスなどに使われているそうです。

 

 今後は販路拡大とサクラの植樹にも力を注ぎ、この吉野さくら水を使った様々な商品開発を手掛け、多くの人にサクラの香りを届けたいと考えているそうです。

 

 「オンライン化により、サクラの花の映像は遠くにいる人にも届けられるようになりましたが、香りは化学的なものがほとんど。この吉野さくら水なら、本物のサクラの香りを届けられます」と亀田さん。

 

 商品は、大ビン(700ml)3500円、小ビン(170ml)1000円で、受注生産していますが、在庫があればその場で販売も可能です。

 

大ビン700ml(左)と小ビン170ml

 

 宮谷さんは「吉野さくら水を使っていただくことで、新しいステキなものが生まれ、奈良の魅力発信のお役に立つことができれば嬉しいです」と話します。

 

 世界に類を見ない、天然のサクラの香りの水「吉野さくら水」の今後が楽しみです。

 

 

 

ココ吉野

住所:吉野町立野164

メール:coco.yoshino.8@gmail.com

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