歴史文化

大和古寺お参り日記 【4】 - 岡寺(下)

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 日本最初の厄除け霊場と伝わる岡寺の本尊は、高さ4・85メートルの如意輪観音座像(国重要文化財)だ。奈良時代に造られ、土でできた塑像としては国内最大とされる。

 

 川俣海雄副住職の案内で本堂に入った瞬間、観音様のあたたかさに触れたような気がした。正面に立つと、包容力のある大きな姿と優しいお顔が気持ちを緩めてくれる。そして、恐怖を取り除く「施無畏(せむい)の印」を結ぶ右手が、母の手のような安堵を与える。

 

あたたかな優しさに包まれる本尊の如意輪観音座像

 

 

 川俣さんによると、何度も修理を重ねているが、今見ている姿は大きく変わっていないという。土の仏様が1300年前と同じ姿で崩れず残っているのは奇跡に近い。「もとは色鮮やかなお姿だったが、剥落して白くなっている」とのこと。26日まで本堂内々陣の扉が開かれており、間近で拝むことができる。

 

内々陣から間近で拝観

 

 

 同寺には、本尊の胎内仏として胸に納められていた小さな半跏思惟像(奈良時代・国重要文化財)も伝わっている。江戸時代の修理の際に取り出され、高さは30センチほど。失礼ながら、首をかしげたお顔は思わず笑みがこぼれてしまうほどかわいらしい。寺伝では如意輪観音と伝わり。寺で拝観できるのは御分身。実物は京都国立博物館に寄託されている。

 

半跏思惟像の御分身。愛らしくて笑みがこぼれてしまう。

 

 

 近年、同寺ではお供えのダリアを境内の池一面に浮かべた「華の池」や「花手水」がインスタグラムで人気を呼び、若い参拝者も増えたという。今は「大和三大観音あぢさゐ回廊」を開催中で、境内を色とりどりのアジサイが彩る。 

 

アジサイやダリアを浮かべた花手水
写真を撮る女性の姿も多い
華の池の紫陽花
奥の院に向かうアジサイの川

 

 

 川俣さんは「お寺に足を運ぶきっかけは何でもいい。観音様に向き合って手を合わせ、知らない間に疲れてしまった心を休めてもらえればありがたい。そういった場所でありたい」と話す。

 

 「おもてなし」。そんな言葉が浮かんだ。寺を訪ねた人たちは、境内の空気に癒やされながら、花を楽しむ時間を過ごす。それは仏様にとっても喜びであるに違いない。

 

 またこの優しいお顔の観音様にお会いしたい、そう思いながら帰路についた。

 

(文・伊藤波子 写真・藤井博信)

 =来月は葛城市の當麻寺を訪ねます=

 

 

 ▽岡寺/明日香村岡/電話0744(54)2007。

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