西大寺の巨大掛け軸修復へCF 7月末まで募集
奈良市西大寺芝町1丁目の西大寺(松村隆誉長老)は16日、同寺に伝わる約7メートル四方の巨大仏画の掛け軸2点を修復するためのクラウドファンディング(CF)実施を発表した。同寺は「色鮮やかで非常に美しく、これだけ巨大な掛け軸は珍しい。なんとか修復を行い、その信仰を継承するため、皆さまのお力をお借りしたい」としている。
掛け軸は長年、巻いた状態で同寺が保管してきたが、中身を確認できずにいた。昨年12月に傷みの確認のため広げたところ、大日如来と両脇侍(わきじ)を描いた「大日三尊像」と不動明王を中心に五大明王を描いた「五大尊像」の2点の仏画であることを確認。いずれも江戸中期の作とみられている。
由緒について現時点で確認できる手掛かりは「五大尊」の上部の軸の墨書きから読み取れる「文政十年」「画師郡山豆腐町住人藤田常引」などの文字。和紙をつなぎ合わせ、その上に仏画が描かれており、折り目が裂けているなどの傷みがみられた。県の審議会で文化財価値が認められ、「なら歴史文化芸術村」(天理市)で約2年間の調査、修復を行うことが決まり、3月に寄託された。
目標額は500万円でCFサイト「READYFOR(レディーフォー)」で15日から募集を開始。募集期間は7月31日午後11時まで。同寺の拝観招待券など支援金額による返礼品もある。
同寺の辻村泰範執事長は「修復を完成させ開眼法要をして、この巨大仏画を皆さんに知っていただきたい。たくさんの方に縁を結んでいただけたら」と話している。
問い合わせは、同寺、電話0742(45)4700。