次期奈良県知事選 選挙構図見通せず 参院選後、活発化か
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荒井氏は「進退白紙」
来春の統一地方選挙まで1年を切った。奈良県内では前半戦で知事選(来年5月2日任期満了)と県議選(同4月29日任期満了)、後半戦で6市町村長、23市町村議の改選が予定されている。中でも注目されるのが県のリーダーを決める知事選。4期目の現職、荒井正吾氏(77)はこれまでのところ進退を明らかにしておらず、選挙の構図はまだ見通せない。政党関係者からは「まずは参院選」との声が多く、参院選後に動きが活発化しそうだ。
荒井氏は4月の定例記者会見で知事選への動向を聞かれ「白紙。何も考えていない。任期中の仕事をしっかりしたい」と回答。態度を明らかにしなかった。
前回(2019年)の知事選は、荒井氏、現日本維新の会県総支部代表の前川清成氏、医師の川島実氏が三つどもえの戦いを展開し、荒井氏が戦いを制した。前川氏、川島氏の票数を合わせると荒井氏の票数を上回っており、2人が並び立ったことで荒井県政への批判票が割れる形となった。過去には告示直前に立候補した候補者に肉薄されたこともあり、荒井氏の態勢は決して盤石とは言えない状況だ。
荒井氏の動向が見通せない中、保守系の後継候補として県選出の現職国会議員や県出身の官僚の名前も挙がるが、議会関係者からは「本年度予算を見ていると先々のことも掲げており、5選も視野に入れているのでは」との声も聞かれ、5選に意欲的との見方が多い。
一方、市長、県市長会長としてコロナ対策などで現県政に物申してきた天理市の並河健市長(43)が知事選に出馬するのではとの憶測も飛び交う。
これに対し、並河氏は「市長、市長会長として職務にまい進したい」と出馬を否定。ただ「国、県、市町村が連携して協力できる状況が望ましい」とも話し、現状への不満をもらす。
一方、「候補者を擁立する」と明言するのは日本維新の会県総支部の森本尚順幹事長。「荒井氏、または自民が誰かを立てたとしても県の4年間を担う知事がそれでいいのか。批判するだけでなくきちんと選択肢を示したい」(森本幹事長)と話しており、参院選後に人選を本格化させる予定だ。
また、荒井氏が出馬した知事選4回のうち3回で選択肢を示してきた共産党県委員会の細野歩委員長は「荒井知事の政治は開発優先で暮らしを守る姿勢が欠落している。コロナ対応でもいろいろなところから声が挙がっていたにもかかわらず、まん延防止等重点措置の発出を拒否した。そういう荒井知事のかたくなな姿勢への批判は根強いものがあるのでは」と現県政の転換の必要性を強調し、「状況を見極めながら対応していく」と話した。