裁判「長期化」か 奈良市新斎苑の用地買収を巡る問題
奈良市の新斎苑(火葬場)「市斎苑 旅立ちの杜」の用地買収を巡る問題は14日、高裁判決の確定を受け、市が仲川元庸市長と元地権者2人に対し損害賠償を求めた裁判が始まり、新たな局面に入った。用地買収について高裁判決に不満を示しつつ賠償には応じる姿勢を見せている仲川市長。一方、この日の初弁論で元地権者側は「契約内容や交渉過程に問題はない」として全面的に争う構えをみせた。被告双方の主張には大きな隔たりがあるとみられ、決着の形はまだ見通せない。周辺では裁判の長期化を予想する見方が強まっている。
市が2018年3月の市議会の議決を経て購入した土地(約11ヘクタール)は1平方メートル当たりで、不動産鑑定2社の平均463円の鑑定価格に対し、購入金額は3倍を超える1514円。最高裁が市などの上告を不受理とし、確定した高裁判決の1億1600万円を超える損害賠償金には、購入費の支払い日(18年4月10日)から起算して年5%の利息(遅延損害金)も掛かる。14日現在、利息総額は2336万5887円。1日当たり約1万5900円ずつ増える計算だ。