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DVを予防するために - 明日への扉

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加害者にも被害者にも傍観者にもならない!

 

 2001年に「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」(DV防止法)が制定され、20年以上経ちました。DVという言葉は一般的になりましたが、相談件数は増えており、近年はコロナ禍もあって被害数はより増加していると見られています。「DVを予防するためには小さいころから正しい知識を持つことが大切」と、教育現場でも幅広くDV予防の啓発を行う「参画ネットなら」代表の藤堂宏子さん(70)やメンバーに話を聞きました。

 

DVとは?暴力にはいろいろある

 

 法的に考えられているDVとは、婚姻関係または同等の関係間での暴力とされていますが、付き合っているパートナーとの間であっても、起きていることは同じです。その状態を「デートDV」と呼び、「参画ネットなら」ではDVについて早くから正しい知識を持てるよう、被害者からの相談を受け付けているほか、小学生から大学生まで幅広い年代を対象にDV予防教育を行っています。

 

 DVというと、なぐる、けるのような直接的な暴力をイメージしがちですが、暴力にもいろいろあります。

 

(1)身体的暴力

 なぐる、けるだけでなく、つねったり、髪を引っ張るなども当てはまります。

 

(2)精神的暴力

 心に対しての暴力。どなる、無視する、交友関係を制限するなど。

 

(3)金銭的暴力

 結婚している場合は配偶者にお金を渡さない。付き合っている段階であれば、お金を借りて返さないなど。

 

(4)性的暴力

 結婚していても、相手の同意がない行為は暴力になります。アクションを起こす側に相手に同意を取る必要があります。

 

(5)デジタル暴力

 パートナーのスマートフォンを勝手に見たり、アドレスを勝手に消す。また予定共有アプリを相手の行動を束縛するツールに使ったり、性的な写真を送らせることも暴力です。

 

 これらが多くの場合複合して起こります。

 

 

家を出たり戻ったりを平均7回繰り返し

 

 そんな暴力にあっているのにどうして別れないのかというと、親密な関係で好きになった相手であること。時たま暴力を振るわれるものの、普段は優しいこと。結婚していると経済的なことや子どものことなどで別れられないケースもあります。DVにあっている人は、一旦別居するものの決心が付かず、家に戻るということを平均7回繰り返しています。

 

 また、「自分が我慢すればよい」「相手も変わってくれるはず」と自分がDVの被害にあっていると気付いていないことも多くあります。

 

 DVとはお互いの関係が対等ではなく、一方的な上下関係が作られ、支配しコントロールされることです。支配される方は選択権がない状態であり、何事にも無気力になったり、それが普通と感じてしまいます。

 

 相談を受けると、とにかく話を聞きます。気持ちを整理して「自分は悪くない」と自信を取り戻してもらい、問題を自分で乗り切ったり、物事を決められるように時間をかけて相談に乗ります。相談できる状態であればまだよく、相談にまで踏み出せていない人も多くいると思われます。

 

 

DVの要因は?古くからのジェンダーの思い込み

 

 DVの要因として、「力のあるものが弱いものを支配することが当たり前」という「力と支配」の考えや「暴力容認」、旧来の「ジェンダーに関する思い込み」があります。最近でこそSDGsの一つに「ジェンダー平等」もうたわれていますが、社会の中で「男らしさ」「女らしさ」を求められる場面はまだまだあります。「力強さ」や「よく気が利く」など、内容の一つ一つが悪いわけではありませんが、より大切なことは「自分らしさ」です。

 

 若い世代でも、旧来の意識を持ったまま結婚している人は多くいます。共働きの世帯も増えていますが、家事の分担が女性に偏っていたり、男性が家事をしても「手伝う」「やってあげている」という感覚でいることがあります。最後まで責任を持ってやっていないため女性に文句を言われ、「こんなにやっているのに感謝がない」とDVにつながることもあります。

 

 女性の方も「女性はこうあらねば」という思い込みを持っている場合もあり、男性も「男性だから大黒柱として頑張らねば」と弱音も吐けず、ジェンダー意識に縛られているともいえます。

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