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経済

時考のたね―ウィズ・アフターコロナの歩み方➀ - 佐藤薬品工業、佐藤社長

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地域スポーツの可能性について語る佐藤薬品工業の佐藤社長

 2年近くに及ぶ新型コロナウイルス禍は県経済にも大きな影響を及ぼし、まだ先行きが見通せない部分もある。一方で全国各地ではコロナ禍を大きな転換点ととらえ、従来からの思考、業態を変えるなどざん新で意欲的な取り組みも散見される。ウィズ・アフターコロナを見据えつつ県の経済回復、活性化のためにどう歩んで行けばいいのか。新たな挑戦への手掛かりにもなる、考えを巡らすたねをさまざまな人々に語ってもらう。

 

佐藤薬品工業社長

 佐藤 進氏(76)

 

 ≪社内で野球チームを持ち、県内球場の命名権も長年担うなど、スポーツへの理解は深く、協力も惜しまない。だが県内でアマスポーツが盛んな一方、プロスポーツの状況には残念な思いもある≫

 

 新型コロナウイルス感染拡大のさなかに開催された東京五輪・パラリンピックには、さまざまな意見がありました。ただ是非は別にして、目標や記録、限界に挑むアスリートの姿にあらためてスポーツの力を感じ取った人も多かったのではないでしょうか。

 

 残念ながら奈良では、チームはあるもののなかなかプロスポーツが育ちません。各競技が地域密着のフランチャイズ制を採用していることを思えば寂しくもあります。近隣府県に多様なジャンルの魅力的なチームが存在することも理由かもしれませんが、公式試合ができ、興行として成り立つだけの競技施設がないことも要因の一つではないでしょうか。

 

  ≪スポーツを核にした地方創生を明確に打ち出す自治体もあり、スポーツツーリズムは観光をはじめさまざまな場面で県の発展に寄与すると考える≫

 

 近年、プロスポーツの施設を長期的視野で導入する自治体も表れています。例えば男子プロバスケットボールBリーグのチームがある沖縄市では、市長選の選挙公約でアリーナ建設を打ち出した候補が当選し、本場米国にならった本格的施設が完成しています。

 

 もちろん税金も投入する建設費用は小さくありません。しかし同市は建設段階からチームの運営会社などと協働し、費用の回収、黒字化を図るために数年にわたる計画を立てているようです。計画ではバスケットボール関連の収入を基本に置きつつ、大規模コンサートなどのイベントを開く文化施設としても利用し、できる限り施設が休んでいる時間を減らして利益を上げようとしています。そうした動きは多方面から注目され、観光、経済面での貢献も生まれ始めているようです。

 

 ≪国体関連施設の協議も本格化するなか、新型コロナウイルス禍で停滞する経済を動かすためにもプロ仕様の施設建設も検討してはと考える≫

 

 奈良では沖縄のような形は無理な話なのでしょうか。スポーツ、文化関連ともに県民のニーズは低くないように思います。近い将来の国体開催をにらみつつ施設整備の話が持ち上がっている時期でもあります。短期的な予算だけで計画を描き、一時的な整備に終わるのはもったいない気がします。全国的な話題になる整備を検討し、施設を中心にさまざまに経済を回していくこともコロナ禍での閉そく感を打破する方策だと思います。

 

 整備資金調達も近年、クラウドファンディングなど税金だけに頼らない方法も一般的になってきました。次世代、その次の世代に奈良で暮らしたいと思わせるには、夢のあるものを一つでも多く増やすことも必要でしょう。

 

 弊社は製薬業だけに、健康にはより高い意識を持っていると自負しています。社内でも運動を奨励し、心身に与えるスポーツの効能も自覚しています。もちろん音楽をはじめ芸術文化も生活に潤いを与えるものです。だからこそ県外に頼らずとも地元で楽しめ、県の観光、経済面にも寄与できる施設の誕生を待ち望んでいるのです。

 

 昭和20年生まれ。県立大卒。39年に佐藤薬品工業に入社し、専務取締役などを歴任。平成14年6月から同社代表取締役社長。県中小企業団体中央会会長、県製薬協同組合理事長。

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