社会
2021回顧(9) 菅原遺跡に円形建物跡
関連ワード:
令和3年の発掘調査で最も注目を集めたのが奈良市の菅原遺跡。5月、回廊跡と塀跡に囲まれた中央に8世紀半ばの円形の建物跡が見つかった。奈良時代には類例のない構造で、専門家らは時期や立地から同時代の高僧・行基(668~749年)の供養堂だった可能性を指摘。日本建築史を考える上でも貴重な成果となったが遺跡の現地保存はかなわず、遺跡保存の難しさが改めて浮き彫りになった。
7月、奈良市の平城宮跡東院地区で奈良時代後半の大型建物跡が見つかった。宮内でも最大規模の掘っ立て柱建物で、東院の中軸線付近に位置する場所や付属施設を伴う格の高さなどから、天皇クラスの宮殿の中心建物だった可能性が考えられている。同宮跡では2月、東方官衙地区で大型の石材を使った石組みの暗渠(あんきょ=地下排水溝)を検出した。