2021回顧(3) 奈良市ごみ処理施設
8月、奈良市環境部内に緊張が走った。市のごみ処理施設「環境清美工場」(同市左京5丁目)の煤塵(ばいじん)から、基準値を超える有害物質のダイオキシン類が検出された。煤塵は大阪府内にある関連施設に搬出されており、検出の報告は同施設からだった。翌日、市が独自に実施した検体採取では、基準値の21倍を超える64ナノグラムが検出された。市は同月23日、4炉の一時全面停止を決断。原因究明に取り掛かった。
煤塵とは、煙突内に設置されたダイオキシン削減のためのバグフィルターで捕集された飛灰を、熱分解処理し固化したもの。トラブルはその過程で発生。市は部品を取り換えるなど復旧に努めた。一方でごみ収集作業は「抑制すれば市民生活への影響が大」として続行。全市内から収集された可燃ごみは瞬く間に工場内に積み上げられていった。市は県内外の施設に処理を委託する「区域外処理」でこの難局を乗り切った。