目に見えない残留受動喫煙「サードハンド・スモーク」に注意 - 教えてドクター
2020年4月、健康増進法の改正法が全面施行され、ほとんどの施設が原則屋内禁煙となりました。禁煙活動の第一人者である高橋裕子教授とともに学校で禁煙教育についての講演を行うなど、長年禁煙活動を続けている下里クリニックの下里直行院長に、現在の禁煙事情について聞きました。
「20年以上禁煙活動を続けている成果が出てきていると思っています」と話す下里院長
喫煙率は「東高西低」奈良県は全国一低い
たばこは鉄砲と同じく戦国時代に日本に伝わりました。江戸時代にはすでに貝原益軒がその有害性を指摘しています。今から60年ほど前は男性の約85%が喫煙し、女性の喫煙も増えてきました。20年ほど前から禁煙の風潮も高まり、現在の喫煙率は20%以下にまで減っています。
中でも若い20代男性の喫煙率は減っており、若い人ほど危険性が分かってきているないでしょうか。また全国的に見ると喫煙率は「東高西低」で、特に奈良県は禁煙外来が最初にできた県ということもあり、全国で一番低くなっています。
禁煙の考え方も変化 副流煙の方が有害多く
20年ほど前、禁煙と言われ始めたころは、たばこを吸う人の直接的な害のことが中心でした(一次喫煙)。喫煙により肺だけでなく、いろいろながんや循環器系、呼吸器系などさまざまな疾患が生じやすくなることは明らかとなっています。
その後、受動喫煙による害(二次喫煙)が問題となりました。たばこの煙には主流煙と副流煙があります。本人が吸う主流煙は900度の熱で燃やされているため、アンモニア・一酸化炭素・ニコチンなどの有害物質が減りますが、手に持つたばこや灰皿から出る副流煙は燃える温度も低く、主流煙に比べて有害物質は多く含まれています。
母親が吸うたばこの害が子どもに影響したり、歯茎にシミができる色素沈着(スモーカーズメラノージス)が、親が喫煙者の子どもの80%に現れるなど、影響は周辺の身近な人へも及びます。
残留受動喫煙が問題に 有害物質は45分残る
今問題とされているのは、サードハンド・スモークとも呼ばれる残留受動喫煙(三次喫煙)です。