社会

奈良の豊住書店、10月末で150年超の歴史に幕

今月末で営業を終える豊住書店=8日、奈良市東向北町

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 奈良市東向北町の東向北商店街にある「豊住書店」が、10月末で営業を終える。本棚に歴史関係の本がずらり並んだ店が姿を消すことに、常連客からは惜しむ声が上がっている。町の本屋が次々となくなる中で、奈良の名物だった老舗書店も歴史に終止符を打つ。

 豊住書店の創業は公称で大政奉還と同じ慶応3(1867)年。ただ、実はもっと古い文化13(1816)年に三重県伊賀市で出版業を営んだのが始まりとも伝わる。歴史関係の本を豊富に取りそろえ、文庫や新書も充実。本棚には「絶版」「当分重版予定なし」と印字した帯を巻いた在庫本も多くあり、古い本を探しに来店する客も多かった。

 現在、店を切り盛りするのは豊住勝輝さん(55)。今年7月に母ハツ子さん(享年81)が亡くなると、8月に父勝郎さん(享年85)が死去。勝輝さんは東京都でハイヤー運転手をしているが、勝郎さんの死去後は会社を休んで店を経営している。 

 勝輝さんが店の仕事に携わるのは、学生時代に教科書の納品や販売を手伝って以来となる。「本屋を続けるには本についての幅広い知識が必要ですが、私は本のことが分からないんです」。もともと勝郎さんも高齢のために来春で閉店するつもりだったこともあり、今月末で営業を終える決断をした。

 閉店の情報はSNS(会員制交流サイト)などで広がり、「寂しい」「続けてほしい」との声が寄せられているという。常連客も次々来店し、「20~30冊まとめて購入される方もいて、大きな袋がなくて困っています」と苦笑する。

 勝郎さんは本が好きで、自宅も本だらけ。一方、店では客と話をするのを楽しんでいたという。勝輝さんは「父は好きな本とお客さんに囲まれていい人生を送ったと思う」と語り、なじみにしてくれた客に感謝する。

 勝輝さんは「書店の仕事は分からないことばかり」と悪戦苦闘の日々だが、「これまで店の手伝いができなかった分、親孝行して店を終えることができれば」と奮闘を続ける。

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