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森漬物店、森社長-コロナに立ち向かう(8)

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奈良漬の可能性を追求する森社長=奈良市春日野町の森奈良漬店

 奈良市の東大寺南大門近く、石畳の参道に面して「森奈良漬店」(同市春日野町)がある。明治2年創業の老舗奈良漬店は今、海外展開も視野に奈良漬の可能性を追求する。

 

 昨年1月、日本人初の新型コロナウイルスの感染者が県内で確認された。同寺や奈良公園を訪れる国内外の観光客は年々増加傾向にあったが、報道を受けてたちまち姿が消えた。

 

 「コロナ禍前は観光客で(店舗前の)通りの向こうが見えないほどだったが、コロナ禍になってからはシカの姿の方が目立つ」。5代目の森麻理子社長(41)は話す。客足はコロナ禍前の半数以下の状況が続いているという。

 

 同社は店頭のほか、自社サイトのオンラインショップでも商品を販売。昨年6月にオンラインショップのデザインを一新したところ、コロナ禍で奈良に遊びに来るのを控えている人たちからの注文も増えている。

 

 それに合わせ、情報発信も強化した。森社長が考案したお手軽でおいしい「奈良漬レシピ」を自社のホームページで紹介。動画なども使いながら、材料や作り方を解説している。コロナ禍を受けて開設したブログでも、森社長が奈良漬と絡めて健康や美容について発信中だ。「伝統的なイメージのある奈良漬を気軽に楽しんでほしい」と森社長は狙いを語る。

 

 今秋発売予定の新商品は数種類の奈良漬が少量ずつ入った商品で、世代を超えて親しまれるブランド名やパッケージを考案した。形が不ぞろいで商品にできなかったウリやキュウリを生かせるため、フードロスの削減にもつながるという。

 

 視野は海外にも広がる。アメリカでは健康意識の高まりから、納豆やみそなど日本の発酵食品が注目を集めているといい、奈良漬を輸出したい考え。贈答文化のあるタイなども候補の一つだ。

 

 森社長は「商品をただ輸出するだけでなく、奈良漬の価値や食べ方なども合わせて伝えていきたい」と意欲的。コロナ禍の中でも、前向きな姿勢は変わらない。

 

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