玉座の隣部屋に食糧庫 - 王の食卓を復元/ウズベキスタンの王城調査
ウズベキスタン・サマルカンド市のシルクロード都市の遺跡「カフィル・カラ城」(5世紀ごろ~8世紀初め)で、玉座がある部屋に隣接する場所で食料庫跡が見つかり、帝塚山大学などの調査団が5日、発表した。同大は「王の食卓を復元できる極めて珍しい事例で貴重な成果」としている。
カフィル・カラ城はシルクロードの交易を担ったソグド人の王の離宮跡。
同大や国立民族学博物館でつくる日本隊は平成27年度から、ウズベキスタン考古学研究所と共同で発掘調査を実施。令和元年9月の調査で、玉座がある部屋の近くで新たに食料庫が見つかった。
食料庫は中央に列柱が並ぶ2階構造。幅約3・1メートル、奥行き約11・2メートル、2階を含む高さ約2・7メートル。1階(地下蔵)の入り口側には少なくとも13個の大がめ(口径約60センチ、高さ1メートル以上)が据えられていた。酒や油の貯蔵用とみられ、内部に付着した炭化物の状態からワインやオリーブオイルを入れていたと考えられている。
1階の奥側では、中央アジアで確認されるのは珍しいアワのほか、ムギやマメ、ニンニク、クルミの炭化物が出土。ハチミツの入った容器も見つかった。
調査団は成果を基に、これまでに出土した動物骨やソグド人の壁画も参考にして王の食卓を復元。メニューはパンのほかアワのかゆや団子、ワインなどで、肉類は羊肉が中心だったと推定した。また玉座の部屋の前には大型建物があり、歌舞音曲を伴う供宴が行われていた可能性が高いという。
食料では、ハチミツは西方のギリシャ、アワは東アジアの影響が考えられ、日本隊代表の宇野隆夫同大客員教授は「考古資料から王クラスの食卓を復元できるのは極めてまれ。東西交流を考える上でも重要な成果が得られた」と話す。
同大は10日から、研究成果を報告する講座をインターネットで配信する。31日まで。視聴無料。申し込みは同大ホームページから。
問い合わせは同大総務課、電話0742(48)9122。
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