考古学
平城宮跡東方官衙地区 中枢に石組み暗渠 - 重要施設排水に注力か 楕円形木簡など1200点超


奈良文化財研究所(奈文研)は17日、奈良市佐紀町の平城宮跡東方官衙地区で大型の石材を使った石組みの暗渠(あんきょ=地下排水溝)が見つかったと発表した。行政機関トップの「太政官」の中心建物と推定される大型基壇建物が位置する区画にあり、重要施設の排水に力を入れていた様子が明らかになった。
昨年3月から大型基壇建物が位置する区画の北西部分780平方メートルを調査した。
石組み暗渠は区画西端の南北築地塀の下を通る形で東西方向に設けていた。自然石を使って底石と側石、蓋石を構成。全長は約7メートル。石組みの内法は幅約60センチ、高さ約30センチ。蓋石は7石確認し、石は幅90センチ、長さ50センチ程度。平城宮内で石組み暗渠の類例は少なく、石の大きさも最大級という。
同様に南北築地塀の下を通る木樋も検出。石組みと木樋の2種類の暗渠を設け、区画内から西側に流れる平城宮内の基幹排水路(幅約6~7メートル、深さ約1・5メートル)へ排水していた。
基幹排水路からは1200点超の木簡や50箱以上の土器などが出土。
「続日本紀」の記事に同じ役職と人名がある「諸陵寮頭外従五位下土師宿祢千村」と書かれた木簡や、珍しい楕円形の木簡も見つかった。
現地説明会は新型コロナウイルス感染拡大防止のため実施しない。調査成果は20日までに奈文研のユーチューブチャンネル「なぶんけんチャンネル」で公開する予定。
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