「鬼滅」人気で熱視線 - 11月の駐車台数 前年同月比19倍 にぎわい持続へ施策も/奈良・柳生の「一刀石」

人気アニメ「鬼滅(きめつ)の刃(やいば)」の聖地の一つとして脚光を浴びているのが、剣豪の里として知られる奈良市柳生町。ここにある「一刀石」が同アニメに登場する石と似ているとされるためだ。今年の初夏以降、家族連れや若者らを中心に熱い視線を集め、同地に観光客を呼び込んでいる。
柳生地域には、柳生新影流の始祖の柳生石舟斎宗巌が、修行中に試合をした天狗(てんぐ)を一刀のもとに切り捨てたはずが、刀はその場にあった巨石を二つに割っていた、との伝承が残る。その宗厳ゆかりの一刀石が、「鬼滅」の主人公の炭次郎によって切られた石と類似していると、鬼滅ファンの間で話題となっている。
人気ぶりは柳生を訪れる車両の数にも表れている。12月7日の市議会一般質問で、山本憲宥氏(自民党・結の会)が市にただしたところ、柳生観光駐車場の駐車台数は、新型コロナウイルス感染症拡大による緊急事態宣言が出されていた4月で217台。前年比で90・4%だった。5月にはゼロとなったが、6月になると231台と前年同月比で179・1%と急増。8月には546台で同比のおよそ5倍となった。
その後も前年同月比3~6倍で推移。11月は1カ月で4340台を記録した。昨年同月が229台だった状況と比較すると、「鬼滅」人気の高まりに比例して、一刀石が大きな関心を呼んでいると推察された。結局4~11月の累計では、昨年の1316台に対して6616台の車両が同駐車場を利用したという。
こうした状況に市も呼応。11月後半の3連休には柳生観光協会などと協力して「柳生茶屋」で臨時の販売所を開設し、地元の店舗などがコンニャクやもち、茶、加工品、果物といった地域産品を販売した。市は「ウイズコロナ時代においては3密を避け、ゆったりと過ごせる市の東部地域の魅力は重要」とし、地域団体などと連携してにぎわい持続の施策を展開する方針を示し、人気の余波に期待を寄せている。
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