太子と天皇家の関係紹介 - 出土遺物など243点/二上山博物館で特別展

香芝市藤山1丁目の二上山博物館で特別展「聖徳太子と古代王家」が開かれている。奈良盆地の北西部の大和川の南側に当たる片岡・広瀬地域から出土した遺物を中心に、他地域の類似物など約243点を集め、同地域と天皇家や聖徳太子とのつながりを探る。12月8日まで。
平野古墳群のひとつ、同2号墳(7世紀中ごろ)の石室から出土した棺の受け台は特異な設備で、棺は現存しないが担当者は「かなり高級なものが置かれていたに違いない」と話す。
同古墳群の茅渟王の墓が有力視される塚穴山古墳(7世紀後半)の墳丘から出土した凝灰岩の貼り石は他に牽牛子塚古墳(明日香村)、天武・持統陵(同)だけで確認されている。
いずれも王族の墓を示すものと推定され、担当者は「新しい築造法がこの地域で試され、明日香の古墳に転用された」と解説する。
一方、瓦片も多数が展示される。市内の尼寺廃寺や王寺町の西安寺跡、片岡王寺跡、斑鳩町の法隆寺などから出土した瓦が展示されるが、見比べていくと同じ型を使った模様が描かれていたり、同じ技術が用いられているのがある。
担当者によると、「同じ瓦が使われている寺は、同族が建立したり、一部の建物の創建に関わっている可能性が高い」という。聖徳太子や天皇家とのつながりも見えてくる。
入り口正面のガラスケースに市内最古の仏像とされる誕生釈迦立像が初展示されている。釈迦が生まれた時に天と地面を指し「天上天下唯我独尊」と言ったとの伝承を表したもの。普段は奈良国立博物館に寄託され、見ることはできない。
このほか、奈良市の長屋王邸跡から見つかった木簡のうち片岡から進上されたものを、2週間ごとに入れ換えて1点ずつ展示するコーナーもある。
開館時間は午前9時から午後5時(入館は同4時30分)まで、毎週月曜日休館(休日の場合は次の平日が休館)。観覧料は一般350円、高校・大学生250円、小中学生150円。
問い合わせは同館、電話0745(77)1700。