社会

文字を知り笑顔の春 - 差別で、生活で、逸した学び 95歳・崔さん 81歳・渋谷さん/天理の夜間中学を卒業

卒業パーティーで笑顔を見せる崔さん(左から2人目)と渋谷さん(同3人目)=15日夕、天理市丹波市町の天理市立北中学校夜間学級 拡大

 天理市立北中学校夜間学級(天理市丹波市町、天理の夜間中学)で15日、卒業式があった。卒業生の崔公子(チゥェ・コンヂャ)さん(95)=桜井市在住=と渋谷三佐子さん(81)=同=の2人が森好宏校長から卒業証書を受け取った。

 崔さんは当時、日本の統治下にあった朝鮮半島出身。10歳のころ、家族と来日し、福井県に住んだが、民族差別のため学校に通えなかったいう。

 一方で、大阪府出身の渋谷さんは両親を助けて農業を担い、弟妹の世話に追われる日々の中、学ぶ機会を逸した。

 崔さんは4人、渋谷さんは3人の子どもを育て上げた後、夜間中学に入り、初めて文字を学んだ。

 職場や日常生活で読み書きができないことによる、さまざまな悔しさ、悲しさを味わった2人。「医者の受け付けで名前を書くように言われ、そっと隠れて帰ったこともある」という崔さん。

 「文字を覚えたことでこわいものがなくなった。自分の生活を取り戻したようです」と語る。

 縫製の職場でサイズ表や注文書が読めず悔しい日々を過ごしたという渋谷さんは「初めて書いた年賀状に返事が来た時は、天にも昇る気持ちになった。夜間中学は遠いところにあった文字を、私の体の一部分にしてくれました」と、それぞれの学びを振り返った。

 式に続き、教室で催されたパーティーでは2人の人生の歩みや文化祭や生徒会などでの活躍を写真や映像を交えて紹介。教員やクラスメートらからお祝いの言葉を贈られた2人は「勉強はもちろん、ここで友だちと出会えたことも大きな幸せ。卒業はうれしいけれど、もう、登校しないと思うと本当に寂しい」と夜間中学への愛着を話した。

 同夜間学級は市民レベルの設置運動が実り、昭和54年に自主夜間中学としてスタート。同56年に公立化され、同63年、天理市立丹波市小学校の敷地内の現在地に校舎を移した。現在、外国にルーツを持つ人を含む、20~90代の40人が学んでいる。

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