考古学

はぎ取り修理、石室埋め戻し - 発見から30年/キトラ古墳 極彩色壁画

整備が進む国営飛鳥歴史公園キトラ古墳周辺地区=明日香村阿部山 拡大

 明日香村阿部山の特別史跡キトラ古墳(7世紀末〜8世紀初め)は7日、極彩色の壁画が発見されてから30年を迎える。壁画はすべてはぎ取られて修理が進む一方、今年10月には墳丘の復元整備に向けて石室の盗掘穴が閉鎖された。節目の年に、遺跡保存の上でも新しいステージに入っている。その歩みを振り返る。

 昭和58年11月7日午前11時半すぎ、キトラ古墳の石室盗掘穴にファイバースコープが差し込まれ、石室内部が撮影された。映し出された「玄武」の姿。高松塚古墳(同村平田)に次ぐ国内2例目の大陸風壁画古墳の発見だった。平成10年には小型カメラの探査で青龍、白虎、天文図を確認。13年には朱雀、十二支像も見つかり、四神がすべて残る国内で唯一の古墳だと分かった。

 ただ高松塚と同様、カビなどの被害が発生し、16年に壁画のはぎ取りを決定。ダイヤモンドワイヤー・ソーを用いた方法が工夫されるなどして、22年11月までにすべてのはぎ取りを完了した。石室の考古学的調査も今年3月までに終了した。

 ▽石室を閉鎖

 墳丘の復元整備に向けて石室を埋め戻すため、今年10月、石室南壁の盗掘穴(高さ65センチ、幅25〜40センチ、奥行き49センチ)を閉鎖した。穴の形状に合わせて加工された二上山産の凝灰岩2個で、30年間注目を集めてきた石室内は封印された。

 石材には「キトラ古墳石室の盗掘口を閉塞(へいそく)する」の文字が刻まれた銅板(縦14センチ、横7センチ)が設置された。

 作業を終えた石工の佐野勝司さんは「1300年前に石工が一生懸命つくったものだが、よくできた素晴らしい石室」と先人の仕事に賛辞を送った。

 それに先立つ8月には石室を初めて一般公開。事実上、最初で最後の公開で8日間に延べ2923人が参加。本物を目の前に「すごい」と歓声を上げ、再び土の中に眠る石室と名残りを惜しんだ。

 ▽墳丘の整備と壁画の保存管理

 取り外した壁画は、はぎ取り作業でいくつもの破片に分割されていて、クリーニングや漆喰(しっくい)層の強化、接合などの作業が進む。

 平成21年8月、壁画は石室外での保存管理・公開する方針が決定。24年に古墳整備と壁画の保存管理に関する基本方針を固めた。

 修理された壁画は、28年度完成予定の国営飛鳥歴史公園キトラ古墳周辺地区に建設する「体験学習館(仮称)」で保存、展示する計画だ。

 東京文化財研究所の川野辺渉文化遺産国際協力センター長は「壁画の修理は順調に進んでいて、あと2年半もすればお見せできる」と語る。

 一方、石室は25年度中に埋め戻され、26年度に墳丘遺構を保護しながら整備に入る。同じく28年度中の完成を目指す。

 また壁画は26年春に東京国立博物館で特別公開される。

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