社会

「冠辞続貂」の4枚確認 - 江戸時代の国学者・上田秋成の版木

見つかった上田秋成の著書「冠辞続貂」の版木と版本=18日、奈良市山陵町の奈良大学 拡大

 奈良大学(奈良市山陵町)の永井一彰教授(近世国文学)は18日、京都市の古書店から同大が収蔵した版木の中に、「雨月物語」で知られる江戸時代の国学者・上田秋成(1734~1809)が著した「冠辞続貂(かんじぞくちょう)」の版木4枚が見つかった、と発表した。秋成の著書の版木が確認されたのは初めてで、近世の出版事情を知る貴重な史料。24日に始まる同大学博物館の企画展「板木(はんぎ)さまざま」で展示される。

 永井教授らは京都市にある寛延4(1751)年創業の古書店「竹苞楼(現・竹苞書楼)」に保存されていた版木約2500枚を平成17年から調査。「冠辞続貂」とみられる版木4枚を確認し、現存する版本と照合したところ、筆跡や枠の欠けた部分なども完全に一致した。

 「冠辞続貂」は和歌の枕詞(まくらことば)を解説した本で、享和元(1801)年9月に初めて出版。竹苞楼の版木台帳によると、明治12年に版木5枚を買い入れた記録が残っている。

 今回見つかった版木はサクラ材で、縦22・2センチ、横84・1センチ、厚さ1・8センチ。1枚で表裏8ページ刷り、「冠辞続貂」の7巻計412ページのうち32ページ分。墨の残り具合など使い込まれた形跡があり、何度も増刷されたと推定。明治末ごろまで使われた可能性があるという。

 幕末期には火災などのリスクを避けるため、版木を複数の出版元で共同管理することが主流となっていた。

 版木は活版印刷が普及後に衰退。戦時中に空襲に遭ったり、燃料不足を補うために薪(まき)として燃やされたりしたという。上田秋成の著書では表紙部分の版木は残っているが、本文部分の元版が確認されるのは初めて。

 永井教授は「秋成の著書に関する出版権の移動を確認できる史料。冠辞続貂が人気のあった本であることが、版木からも分かる」としている。

 企画展は9月7日まで。開館時間は午前9時から午後4時30分まで。土曜は正午まで。入館無料。

 問い合わせは、奈良大学博物館、電話0742(44)1251。

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