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消える銘文 仏像に傷み - 風化進む春日山石窟仏

岩をくり抜いて浮き彫りされた石仏群=今月13日、奈良市高畑町 拡大
昭和2年発行「奈良懸の指定史蹟」に掲載された銘文の拓本と現在の様子 拡大

 風化が著しい奈良市高畑町の国史跡、春日山石窟仏(せっくつぶつ)で、奈良森林管理事務所と県教育委員会が清掃を兼ねた経過観察に取り組み始めた。昭和初期にあった銘文の一部がはく落で失われるなど、風化が進行。保存処理は技術的な課題が大きく、「見守り」は大きな意味を持ちそうだ。今月末にも担当者が現地を訪れる。

 春日山石窟仏は岩をくり抜いて彫られた平安時代末の石仏群で、東西2窟に分かれる。地蔵菩薩など18体が残り、大正13年、国の史跡に指定された。

 凝灰岩のため風化が激しく、製作時期を示す石刻の銘文も3分の1が欠損。昭和初期の記録では「八月廿日」の文字が残っていた。墨書の銘文も見えなくなっている。

 所有者の林野庁は石窟に覆屋をかけ、人が近づけないよう正面に金網を張って管理。山肌の水を流す排水路も設けている。

 清掃を兼ねた経過観察は一昨年に始まり、春と秋の年2回、石仏の写真を撮るなど現状を記録している。排水溝に詰まった落ち葉や覆屋内の草も除去。

 県教委文化財保存課は「傷みがどこまで進んでいるか、きちんと観察して記録することが重要」と話す。

 奈良森林管理事務所によると、石窟近くの岩が欠け落ちたりすることもあるという。

 ただ、保存処理は技術的なハードルが高く、同課は「含水量を調整できなければ保存処理は難しい。薬剤を表面に浸透させるだけでは岩が二層に分かれてはく離する」と指摘する。

 国内では、大分県臼杵市の「臼杵磨崖仏」(国宝)で合成樹脂による保存処理や修復が行われた。

 本格的な処理には専門家を集めた協議が必要で、奈良森林管理事務所は「できる限りの管理は行っているが、保存のエキスパートではなく、手を加えるわけにはいかない」と話している。

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