漢方診療日記

第40回 人は地球のひも付き - 大自然に従い、生きる

最新のビッグデータを使うと、人の大きな傾向が分かること、そしてそのデータが古代の書『黄帝内経(こうていだいけい)』に、既に書かれていたことを前号で書いた。何となく古来、感覚で言われていたことが、最近の研究で数字化されていたのだ。


「自然のリズムに従えば健康だ」と『黄帝内経』は言う。自然のリズムとは、季節や年齢など、時間の経過で変化していく要素に自分を合わせていけば、健康に生きることができるというものだ。


「四季により生活を変えて行け」と書いてある。夏は早起き、冬は少しゆっくり寝ていても良い。夏は夏に取れる物を食べ、冬には冬に取れるものを食べる。歳をとれば、若い頃と違う生活をする。そうすることが健康の秘訣(ひけつ)だ、ということだ。


なぜ、2千年前の人が、このビッグデータの分析と同じことが分かったか、と考えてみた。恐らく伝承か、あるいは、自然の中で、化学物質などを口に入れない、またストレスがない気功の師匠みたいな人が世間にたくさんいて、その人たちが自分の身体の状態を感じて、それを文章化したのだろう。現代人は、その辺の感覚は鈍くて分からないかもしれない。


今回私が感じたのは、人とは個性だのオーダーメイドなどと言われているが、地球という星に、ひも付きで生きるしかない、ということだ。先進のオーダーメイド医療でも、個人が直感的にまずいと感じたら、やめた方が良い場合もあるかもしれない。


秋になり、地区の樹の葉っぱが一斉に色付き、また、一斉に枝から離れていく、個性的な葉なんてない。寺の過去帳を見れば、冬になれば一気に死者が増える。室温が管理された現代でさえ、肺炎で冬にたくさん亡くなっていく。冬に人が弱るのは、江戸時代と変わらない。


不自然な負荷、つまりストレスを受けるのはもちろん良くないが、自然に逆行した治療や、精神的にポジティブと思われている若返り治療は、長い目で見れば、うまく行かないということだ。自然に加齢することにうまく従うのが、楽に生きるコツなのだろう。


人にとって、高価なオーダーメイドのアンチエイジング治療を受けるよりも、大自然に従って自然に老いることが幸せなのだ。どうしたって人は、樹の葉っぱだから。自分一人だけ、枝に残ることはできないのだ。

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