漢方診療日記

第39回 ビッグデータ - ”感覚”が解析結果に

最近、大手電機メーカーの研究員と、研究の内容を議論する機会があった。そこで、「Big data(ビッグデータ)」を使った興味深い話を幾つか聞いた。この会社は血圧計や睡眠計のメーカーだ。医療機器も開発している。


最近の家庭用血圧測定機は、かなり進化しており、測った血圧はインターネット経由でサーバーに送られ、そこで記録されるのだ。もちろん、ユーザーは自分の血圧しか見ることができないが、サーバーには10万人単位のデータがたまり、それを分析することで、今までは分からなかった傾向が分析できるのだ。


このデータの分析では、気温が下がれば下がるほど血圧は上がり、気温が上がれば血圧は下がることが観察されるという。


私は医者になって、血圧が夏には正常な人でも、冬は一般的に血圧が高くなりやすい傾向があるのは、臨床の現場で実感していた。また、先輩医師からも聞いていた。感覚的にそんなものだと感じていたが、実際、こんなデータは見たことはなかった。まさに、感覚がデータになっていた。10万人規模だからできたのだろう。


また、全国で見ると、血圧測定の平均値は、寒い県ほど高くなる傾向になっているのだ。東洋医学の教科書『黄帝内経(こうていだいけい)』にも、「冬は気を鎮めてひそやかな気持ちで過ごし…」とあり、精神的な動揺から血圧が上がるのを防止するかのような記載もある。


また、睡眠では、日の出の時刻と共に起床時間も早くなる。さらに、気温が上がるほど睡眠効率が悪くなるという。特に気温が15度以上になると、睡眠効率が悪くなる傾向が強いという。また、年齢を経るごとに、朝早く目覚めるのだという。どれも、科学的根拠はないけど何となく、そうじゃないかな、と言われていた事柄ばかりだった。


今回見せて頂いた解析で、東洋医学が専門の私は驚くことが多かった。その傾向が、古来、東洋医学の世界で言われていたことと、ほぼ同じだったからだ。


睡眠もそうだ。『黄帝内経』では、人は本来、夏は早く起き、冬はゆっくりと起きるのが自然に従った生活で、身体に負荷がかからない、などとある。それからすれば、夏でも冬でも9時に仕事が始まるのは、身体に悪いことにもなるが、仕方がない。


『黄帝内経』は、2000年前に書かれた健康指南書である。この本には、どういう風に生きれば病気になり難いか、が書かれている。大まかに言えば「自然のリズムに沿って生きて死ねば苦しくない」というようなことだ。


自然のリズムとは例えば、「季節や年齢など時間の経過で変化していく要素に、自分を合わせていけば健康に生きることができる」というものだ。

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