漢方診療日記

第16回 冷え、不眠改善で懐妊へ - 環境変えて治癒促進

不妊で漢方外来を受診する人は多い。特に最近は、晩婚化の影響もあり受診者数は多い。34歳の弁護士さんも、そんな女性だ。


漢方外来に不妊で来られても、産婦人科を受診されてない方もいる。そんな方には説明して現代医学の診察、検査を受けてもらっている。卵管閉鎖など器質的な問題がある場合は、まずはそれを解決しなければ、妊娠はしないからだ。


また、男性に原因がある場合もあるから検査が必要だ。


患者さんは関西から東京まで、月に1回受診に通ってくる。夫はアメリカ国籍のユダヤ人、研究者だ。ユダヤ人の友人は私も多いが、感覚が日本人と似ている。アメリカに住んでいる夫の両親から、妊娠を期待されているという。


はじめは、腹証(おなかのパターン)から「当帰芍薬散料(とうきしゃくやくさんりょう)」を処方した。それと共に、身体を温めるため、20分以上の半身浴を勧めた。彼女の不妊は検査をしても医学的な異常がなく、原因不明の不妊症だ。


彼女は人工授精を数回行ったが、うまくいかなかった。夫は外来に来たことがない。一人で外来に受診する人よりも、家族でなくても誰かと一緒に来る人の回復感が良い感じがする。次の人工授精は、ひと月半後だという。


数カ月が過ぎた。どういう訳か彼女は、現代医学の婦人科の治療を止めるという。少し疲れた彼女が寂しそうだった。ただ、漢方は続けるという。冷えが劇的に改善したのと、眠りが深くなったことがその理由だ。


さらに数カ月が過ぎた。彼女は妊娠しなかったが、少しずつ表情が柔らかくなっていった。仕事を軽い部門に移ったことも、その理由だったかもしれない。「漢方は習慣になった」と、彼女は電気煎じ機を買っていった。生活が楽しくなったという。環境をガラッと変えたという。


半年が経ち、そろそろ漢方がなくても体質が変わり、冷えや不眠が漢方を飲まなくても改善される見込みがあったからだ。


ところが、彼女が「自然妊娠した」といきなり外来に来た。流産しないような漢方を飲みたいという。現代医学の助けを借りず妊娠したのだ。漢方薬で妊娠したかどうかは別として、血流が良くなったり、リラックス出来たのは確かなようだ。


生活が変わることで病気を含め、このような大きな体質の変化が起こるのをたくさん診(み)てきた。環境は、皆さんが思っている以上に体調に影響している。


環境を変える勇気を持てば、病気は自然に治ることもある。

ウェブ限定記事

よく読まれている記事

  • 日本のふるさと奈良 回帰展 皇室ゆかりの地を撮る! フォトコンテスト
  • 奈良遺産70 奈良新聞創刊70周年プロジェクト
  • Tour guide tabloid COOL NARA

  • 奈良の逸品 47CLUBに参加している奈良の商店や商品をご紹介

奈良新聞読者プレゼント

企画展「オブジェクト・ポートレイト Object Portraits by Eric Zetterquist」の招待券

プレゼント写真
提供元:大阪市立東洋陶磁美術館
当選者数:5組10人
  • 12.9(土) 12.10(日)に開催 奈良マラソン2017
  • 出版情報 出版物のご購入はこちらから
  • バナー広告のご案内
  • 奈良新聞シニアクラブ
  • 奈良新聞デジタル
  • ならリビング.com
  • 特選ホームページガイド