万葉車窓

大和朝倉-長谷寺(近鉄大阪線) - 表情豊かな山々が連なる

 

 『 狂語(たはこと)か 逆言(およづれごと)か こもりくの 泊瀬の山に 廬(いほ)りせりといふ 』

 万葉集に出てくる泊瀬山(はつせやま)は特定の山ではなく、初瀬山(545メートル)をピークに巻向山や天神山など、このあたり一帯の山の総称だった。東西に延びる泊瀬の谷の両側に立つ山々は、高さや形などにそれぞれ表情を持つ。「走り出のよろしき山」は尾根の流れの美しい山、「いで立ちのよろしき山」は山容のすばらしい山と、古来たたえられてきた。

 「廬りせりといふ」の「いほり」は、仮小屋に斎(い)みこもることで、この歌では死んで葬られたことを歌っている。「隠国(こもりく)の」と歌われる泊瀬の地は、墳墓の地となり魂を鎮める場所となっていった。

 泊瀬山には広葉樹も多く、新緑のころは萌える緑が美しかった。11月の3週目となれば、紅葉も見ごろだろう、と思って出かけたが意外とまばら。針葉樹が多い山々はまだ緑だった。遠くに見える長谷寺は色づく境内のイチョウなどがうかがえた。山々を眺めていると近鉄大阪線の電車が通り過ぎていった。大和路の紅葉はこれから見ごろを迎える。

●参考図書=米田勝著「万葉を行く」(奈良新聞社刊)、和田嘉寿男著「大和の万葉歌」(奈良新聞出版センター刊)


写真・文 本紙・藤井博信 (日本写真家協会会員)

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