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万葉車窓

笠置-大河原(JR関西本線) - 青く流れる「川面の残照」

 

 『 泉川 渡瀬(わたりせ)ふかみ 吾背子が 旅ゆき衣 ひづちなむかも 』

 行商に出かける夫婦の歌ともいわれ「渡瀬が深いから、あなたの旅の服がぬれてしまうではないか」との意味を持つ。

 万葉の時代には泉川と呼ばれた木津川。三重県伊賀市(旧青山町)の布引山地(標高756メートル)や御杖村の三峰山(1235メートル)を水源地とし、京都府内で淀川と合流するまで、三重、奈良、京都の三府県にまたがり流れている。

 泉川は当時、橋もない交通の難所。川が暴れると時には大きな災害をもたらしてきた。現在では、川に沿って自然歩道が設けられたり、川ではカヌー教室が開かれたりしている。奈良市に隣接する笠置町には、東海自然歩道として奈良市柳生地区から笠置町の笠置寺へ、笠置大橋から南山城村方面へ木津川沿いのコースなどがある。

 この写真は笠置トンネル東側の川沿いで撮影した。対岸はJR関西線に沿って東海自然歩道「銀の帯コース」がある。シーズンにはハイキング客らでにぎわうのだろうが、師走の午後には人通りがなく、落ち葉を前に赤く染まった山が輪郭だけを残して夕闇に包まれ、川面が残照に照らされた。

 

写真・文 本紙・藤井博信 (日本写真家協会会員)

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