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万葉車窓

結崎-石見(近鉄橿原線) - 夕空の陸橋と走り去る光

 

 『 君(きみ)が行く 道の長手(ながて)を 繰(く)り畳(たた)ね
                        焼き滅(ほろ)ぼさむ 天(あめ)の火もがも 』

 越前の国に流罪になった夫を思い歌ったもの。長い長い道のりを手繰り寄せ、まとめて焼き捨ててしまう天の火が欲しい、と詠んだ。作者は後宮(こうきゅう)の蔵で働く女官の狭野弟上娘子(さののおとがみのおとめ)。

 古来、奈良を貫く幹線は平城京の朱雀大路から橿原を通り明日香に至る下ツ道のほか、南北に中ツ道、上ツ道、日本最古の官道「山の辺の道」などがあった。現代では長い距離をつなぐ道は鉄道や高速道路といえるだろう。

 京奈和道は、京都と和歌山を結び、奈良の南北をつなぐ大動脈として熱望されてきた。現在、県内区間のうち、西名阪ジャンクションから橿原市内の橿原・大和高田インターチェンジ間の大和区間の工事が、数年先の開通を目指し、着々と工事が進められている。

 撮影場所は天理市と川西町、三宅町の三市町の境界線近く。寺川にかかる橋のたもとで撮影した。この付近は京奈和道の橋脚が立ちち並び、橋げたの設置工事も進んでいる。しばらく待っていると夕暮れの空に力強く橋脚が浮かび上がり、その背後を近鉄電車が走り抜けた。

●参考図書=米田勝著「万葉を行く」(奈良新聞社刊)、和田嘉寿男著「大和の万葉歌」(奈良新聞出版センター刊)

 

写真・文 本紙・藤井博信 (日本写真家協会会員)

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