万葉車窓

加茂―笠置(JR関西本線) - 稲穂に沿って続くカーブ

 

 『 今つくる 久邇(くに)の王都(みやこ)は 山河の さやけき見れば うべ知らすらし 』

 天平12(740)年から今の京都府加茂町一帯に造られたのが、恭仁京(くにきょう)。皇居・恭仁宮は木津川右岸に造られたという。JR加茂駅北方、木津川の対岸には恭仁小学校があるが、このあたりが山城国分寺跡とされている。この宮が廃都となったとき、大極殿が国分寺に施入された記録からこの辺りが京の中心地だったようだ。

 今回の撮影区間は加茂-笠置駅間。関西本線の加茂駅から東は非電化区間。アルミ車体のディーゼルカーは、加茂駅を発車すると上り勾配(こうばい)をディーゼルエンジン音を響かせながら、何度かのカーブを抜けて木津川沿いに出る。撮影地点は、そのカーブの途中の高台。遠くには恭仁大橋も見え、その先は恭仁京の中心地だった辺りだ。

 この日は最高気温が30度を超える真夏日だったが、眼下に広がる水田は稲穂がたわわに実り、暑さの中にも確実に移ろぐ季節が実感できた。飛び交う赤トンボ。のどかに走るディーゼルカー。この風景からは都が置かれた時代は、はるかかなたの昔の話。

 

写真・文 本紙・藤井博信 (日本写真家協会会員)

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