「寅」年内剥ぎ取り-キトラ、余白部分成功
明日香村阿部山の特別史跡キトラ古墳(7世紀末〜8世紀初)の壁画保存修復で、文化庁は11月17日、前日に続き電動カッター「ダイヤモンドワイヤー・ソー」を使った試験的な作業を行い、東壁に残る十二支像「寅」付近の漆喰(しっくい)2カ所の剥ぎ取りに成功した。同庁は、この日の作業を検証した後、年内にも10カ月間中断していた「寅」の剥ぎ取りを行う。
剥ぎ取った漆喰は、寅の右上部の余白(縦約17センチ、横約32センチ)と下部の余白(縦約25センチ、横約21センチ)で、厚さは、いずれも3〜4ミリ。レーヨン紙で表打ちした後、薄い透明のプラスチックを六層に重ねて漆喰を保護。0.3ミリと0.4ミリの2種類のワイヤーを使用した。
寅右上部の余白は上方からワイヤーを当て技術者3人が慎重に作業。途中、漆喰がワイヤーに絡むなどして、予想より時間がかかったが約1時間で剥ぎ取りに成功した。
器具が床に当たるため前日の作業を中断した寅下部の余白は、一部を残して剥ぎ取った。文化庁ではコンパクト化などさらに器具の改良を加える予定。
川野邊渉・東京文化財研究所修復技術部修復材科研究室長は「予想外のこともあったが、実際に石室内で作業ができたことの意味は大きい。寅の剥ぎ取りにはめどがついた」と手応えを口していた。
(2006.11.18 奈良新聞)
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