剥ぎ取り方法結論出ず-文化庁調査委
明日香村阿部山の特別史跡キトラ古墳(7世紀末〜8世紀初)の壁画が劣化している問題で、文化庁の保存活用等調査研究委員会(座長・藤本強国学院大学教授)が9月22日、東京都港区の三田共用会議所で開かれ、石室内に残っている四神像「朱雀」の剥(は)ぎ取り方法などが議論された。新たな方法による剥ぎ取りや石室の一部解体など、さまざまな意見が出たが結論は出ず、ワーキンググループで改めて議論することになった。
同委員会の開催は昨年11月以来、約10カ月ぶり。考古学や微生物の専門家ら24人の委員うち19人らが出席した。杉山純多東京大学名誉教授は、カビやバクテリアの増殖が懸念される石室内の生物環境の状況を報告。杉山名誉教授は検出された菌の種類が増えたことなどを挙げ、「高松塚古墳と同様に『生物連鎖』が出来上っている」とした。
川野邊渉・東京文化財研究所修復技術部修復材科研究室長も、天井の天文図や朱雀の尾に発生した漆喰(しっくい)の穴が大きくなるなど、壁画の劣化が止まっていないことを報告。また、朱雀が描かれた漆喰(しっくい)の一部が1.5ミリと薄く、従来の方法では剥ぎ取りが難しいことを改めて強調した。
こうした報告を受けて委員らは壁画の保存方法などを改めて議論。文化庁が導入を検討するダイヤモンドの粉末をワイヤーに付けた特製の電動カッターによる剥ぎ取りや石室を一部解体して壁画を取り出す方法などさまざまな意見が出た。
しかし「技術的な説明が乏しい」などの意見もあり、技術的な方法を検討するワーキンググループでの結論を待った上で、改めて議論することになった。
このほか、同庁は昨年11月に剥ぎ取った四神像「玄武」の公開を来年5月11日から27日まで、明日香村の奈良文化財研究所飛鳥資料館で行う予定を明らかにした。
藤本強座長は「剥ぎ取りは難しいといわれてきたが、(新しい技術で)行なわれる可能性が出てきたことが前進だ」としている。
(2006.09.23 奈良新聞)
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