「天文図」に新たなカビ-キトラ古墳壁画
明日香村阿部山のキトラ古墳(特別史跡、7世紀末〜8世紀初め)で、石室天井に描かれた天文図にカビとみられる黒い斑点が見つかり、文化庁が4月29日発表した。同古墳壁画は「全面はぎ取り保存」の方針がとられてきたが、作業は途中で中断している。今後もカビなどによる劣化が予想されるだけに天文図をはじめ朱雀など石室内に残された壁画の保存対策が急務となりそうだ。
4月28日午後に実施された石室内点検の際、天文図の最も東側にある円状の星座「尾宿(びしゅく)」に直径7センチの範囲にわたって黒い斑点が広がっているのが確認された。斑点の一つ一つは1ミリ以下で、非常に細かいという。
4月24日の点検時には確認されなかったことから、黒い斑点はその後の3、4日間で発生したらしい。同庁はカビの専門家に分析を依頼し、除去方法など今後の対応を検討することにしている。
同庁記念物課は「カビの種類を特定をしないと除去方法などを検討できない。星座の絵の上で発生しているので専門家と相談し、絵に影響のないよう慎重に対処したい」と話している。
同古墳では昨年9月、天文図の朱線部に黒いカビが発生したり、朱雀などの壁画に透明のゲル状物質が発生。翌10月には天井を中心に小さな穴が無数に空くなど激しい劣化が確認された。
これを受け、はぎ取り保存が急きょ11月に再開され、玄武(北壁)とその下の十二支像がはぎ取られた。しかし、壁画が描かれている漆喰(しっくい)が非常に薄い朱雀をはじめ固着した状態の十二支像の寅(東壁)、粉状化した天文図は、はぎ取りが困難なため依然、石室内に残されている。
11月に開かれた同古墳調査研究委員会(座長、藤本強国学院大教授)は、はぎ取りが困難な壁画の保存方法について、石室の部分解体も「選択肢の一つ」(藤本座長)に加えて議論していくとしている。
(2006.04.30 奈良新聞)
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