密閉性高い石室-流入土砂粒子1ミクロン以下
壁画の劣化が進んでいる明日香村阿部山のキトラ古墳(7世紀末〜8世紀初め)の石室で、鎌倉時代に盗掘を受けるまでの500年間に流入し、堆積(たいせき)した土砂は1粒が1ミクロン(1000分の1ミリ)以下の微粒子状だったことが分かり、文化庁が3月13日発表した。非常に密閉性の高い構造で、石室内の環境は非常に安定した状態だったという。同庁は「当時の高度な古墳築造技術や築造後の石室内環境を推定する上で貴重な資料」と話している。
平成16年度に行われた発掘調査の際、石室内から採取した土砂を分析。土砂は三層で構成されていた。
最下層が盗掘を受ける前の堆積層とみられ、厚さ約1センチ。石室内に染み込んだ地下水などに混じって、持ち込まれた土砂と考えられる。水の侵入でわずかな水位が生じた状態と乾燥した状態が長年にわたって繰り返されることで土層が形成されたとみられる。各層の厚さは10〜40ミクロン。堆積のサイクルや水量などは分かっていない。
石室は、微細な土砂が水を介してしか侵入できないほど精巧に組み合わせて造られ、目地にはしっくいを丁寧に塗るなど、密閉性を高める工夫をしていたと考えられる。
最下層と中間層の境目では、石の破片が集中していた。盗掘者が石室に穴をあけた際に生じた破片とみられ、特徴から二上山周辺で産出する凝灰岩だったことが判明。同古墳石室の石材産地が特定できた。
中間層では、漆膜が堆積していた。盗掘を受けた際、壊された木棺の表面などに塗られていた漆とみられる。最上層は盗掘穴から流入した土砂の堆積層。土砂の流入が複数回に渡って起きていることが分かった。
(2006.03.14 奈良新聞)
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