「子」をはぎ取り-亀裂に沿い2分割
壁画の劣化が進んでいる明日香村阿部山のキトラ古墳(7世紀末〜8世紀初め)で、文化庁は11月15日、北壁の十二支像のうち、中央の子(ねずみ)の絵全体をはぎ取ったと発表した。中央縦に亀裂が入っていたため、絵は亀裂に沿って2分割してはぎ取られた。
四神像の「玄武」の真下に描かれていた子は、絵とその周囲の余白も含めた縦21センチ、横16センチにわたってはぎ取られた。左側の赤い線は、子が手にした弓状の武器や着物の袖口。右側は、不鮮明だが墨線で描かれた頭部や襟元の赤い色が残っていた。
子が描かれていた漆喰(しっくい)にはもともと石壁の接合部に添うように縦に亀裂が入っていた。このためはぎ取り作業はこの日までに2回に分けて行われた。
カビや微生物によるゲル状物質が発生するなど壁画への被害が急速に進んでいることから、同庁は先月から壁画のはぎ取り作業を当初の予定を早めて再開。北壁から着手し、3体の十二支像のうち、右側の丑(うし)の絵全体と亥(いのしし)の一部を既にはぎ取っている。
作業を統括する東京文化財研究所の川野辺渉修復材料研究室長は「漆喰に厚みがあり、作業はうまくいった。表面のゲル状物質は落ち着いた状態だったので表打ちにも問題はなかった」と話している。
子と同様、中央に亀裂が入るなどして少なくとも3分割してはぎ取る必要があると見られた玄武について、川野辺室長は「2分割でのはぎ取りを考えている」との見通しを示した。玄武は11月30日にはぎ取る予定
。
(2005.11.16 奈良新聞)
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はぎ取られた北壁中央の十二支像の子(ねずみ)の絵=15日、明日香村阿部山のキトラ古墳(文化庁提供) |