キトラ壁画に無数の穴-はぎ取り25日再開【文化庁が発表】
明日香村阿部山のキトラ古墳(7世紀末〜8世紀初め)で、石室内の壁画に無数の小さな穴が空いていることが分かり、文化庁が18日発表した。微生物が原因の透明物質が発生するなど石室内で異変が相次いでいるのを受け、同庁は壁画のはぎ取り作業を25日から再開する。北壁の玄武や十二支像(3体)の壁画のはぎ取りを年内に終えたいという。また同庁は、同村平田の高松塚古墳(7世紀末〜8世紀初め)の国宝壁画にも、キトラ古墳と同様の透明物質が発生していると報告。除去が困難なため石室解体までの間、新たなカビ発生の原因になることが懸念される。
キトラ古墳では、微生物や、その分泌物からなる透明物質が朱雀の絵に斑点状に発生。これを受け、文化庁は先月、専門家による調査を実施した。透明の物質を除去する作業の際、朱雀の尾羽の絵の部分で、横3ミリ、縦1ミリの穴が空いているのが見つかった。そのすぐ上でも直径1ミリ程度の微細な穴が2カ所みつかった。いずれも6月の時点では確認されていなかった。
穴は石壁から欠けるような状態。最大で直径1.5センチなど天井部を中心に多数見つかっている。天文図の朱線の上にも数カ所みつかった。小さな穴が空いていることは以前にも数カ所で確認されていたが、最近になってさらに拡大したとみられる。
原因は不明だが、同庁記念物課は「壁画が描かれている漆喰(しっくい)と石壁の間にしみ込んだ水に微生物が発生し、微生物が出した代謝物がしっくいを溶かした可能性もある」という。
透明の物質については、除去してもまた新たに発生するなど根絶が困難で、殺菌力が強いアルコールに変えるなど新たな薬品を使って発生を抑制しているという。
一方、白虎(西壁)の前足部分などにカビが発生し、先月、専門家による調査が行われた高松塚古墳では、キトラ古墳と同様の透明物質が確認された。東西壁の女子群像や男子群像など壁画の広い範囲で発生。
同庁美術学芸課の小林達朗文化財調査官は「漆喰がパサパサして弱い状態のため除去は難しい。石室解体まではアルコールによる殺菌措置で被害拡大を抑えるしかない」という。また透明物質を栄養源にして「カビが一斉に繁殖する可能性があり、注意深く監視しなければならない」と危機感を募らせた。
(2005.10.19 奈良新聞)
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新たに見つかった朱雀の尾羽の部分に空いた穴(点線内)=10月7日、明日香村阿部山のキトラ古墳(文化庁提供) |