微生物の分泌物か-専門家らが石室内調査
明日香村阿部山のキトラ古墳(7世紀末〜8世紀初め)の石室で、朱雀(南壁)の絵に斑点状に浮かんだ透明の物質は、バクテリアなど微生物の分泌物である可能性が高いことが9月16日、分かった。この日、石室内の調査に入った微生物の専門家らが明らかにした。
透明の物質は、所々にべたつくように朱雀の羽根などに付着。専門家らがサンプリングした物質を現地で簡易分析したところ、バクテリアが分泌したとみられる多糖類やカビの菌糸が含まれていたという。
これまでカビ処理用に使われてきたエタノールを栄養源とするバクテリアなのかどうかは不明。文化庁は今後、専門家らの詳しい分析を踏まえ、因果関係を調べるが、エタノール以外の消毒剤についても検討する方針。
石室内に調査に入った杉山純多・東京大名誉教授は「壁面はしめっぽく、べとっとした感じだった。壁画への影響も考えられる。バクテリアなど微生物の影響だろう。憂慮すべき状態にある」と不安な表情を浮かべた。
また、高鳥浩介・国立医薬品食品衛生研究所衛生微生物部長は「微生物による被害は進んでいる。専門の立場からいえば、壁画を一刻も早く石室から取り出すのがいい」とはぎ取り作業の日程前倒しを訴えた。
専門家らは同日、新たにカビが発生した同村平田の高松塚古墳(7世紀末〜8世紀初め)の石室内にも調査に入った。杉山名誉教授は「カビははっきり認められるほど発生しておらず、燻蒸処理の効果が出ているようだ」と落ち着いた表情で話した。
(2005.9.17 奈良新聞)
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壁画に発生した透明の物質について説明する微生物の専門家ら=16日、明日香村阿部山のキトラ古墳 |