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子どもも大人も世代を超えて楽しめる絵本の世界。絵本を開くひとときは、すべての人の心を豊かに育(はぐく)むもの。「絵本のまど」は数多くの本の中から、これはと思う1冊を新旧を問わず紹介します。末尾に記した対象年齢はあくまで参考。あなたの読み聞かせで、ぜひ、小さな人たちに優れた絵本と出合う機会をつくってあげてください。

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絵本のまど<96> 2006年1月10日(火)付より
「キリンさん」
まど・みちお 詩、南塚直子 絵、1575円(小峰書店)
子どもはだれも、詩人のこころを持って生まれてきます。
その詩人のこころをどこかへ置き忘れながらいつか大人になるのです。わが子が幼い日に話した詩語のような言葉を書き留めておけばよかったと思うお母さんもきっと多いはず。
作者のまど・みちおさんは、大人になっても子どものこころを持ち続けた数少ない詩人です。みんなが知っていて一度は歌ったことのある「ぞうさん」の詩もこの本にあります。どの詩もやさしい言葉でありながら深い示唆に富んでいます。キリンさんは風が吹いたら首が寒いでしょ、雲を一枚お空から借りてきてマフラーにしなさいよと語りかけます。絵もまた明るく優しい色調できれいです。
私は赤ちゃんを産んだばかりの新米ママにこの本を贈ります。
読んだ後とても優しい気持ちになります。(たかだおはなしろうそくの会・河野洋子)
【幼児から小学校低学年】※対象年齢はあくまで参考です。
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絵本のまど<97> 2006年1月17日(火)付より
「大雪」
ゼリーナ・ヘンツ 文、アロイス・カリジェ 絵、生野幸吉 訳、2310円(岩波書店)
小さな村に、昼も夜も音もなく大雪が、山や牧場をうずめて降り続いています。
兄のウススリは、子牛にミルクを飲ませたり家畜小屋の掃除から世話を全部やります。
元気でやさしい妹のフルリーナは、あしたのそり大会で飾る毛糸の房を、隣村へ買いに行くよう無理やり兄から頼まれました。
妹は帰る途中、なだれで雪の中に埋もれてしまいました。日暮れになっても帰ってこない妹。兄は、こんな天候の日に妹を使いに出したことを激しく悔います。夢中で妹を探しに出かけますが…。
大判絵本の見開きの片側は、繊細な線のやさしいモノクロ。片面は雪国の厳しい自然と子どもたちの日常の生活が、暖かい色彩で澄んだ空気までもが感じられるように描いてあります。
ほかに「ウルスリのすず」「フルリーナと山の鳥」のシリーズもあります。(奈良子どもの本連絡会・藤井幸子野の花ぶんこ代表)
【小学校3、4年から】※対象年齢はあくまで参考です。
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絵本のまど<98> 2006年1月24日(火)付より
「おそざきのレオ」
ロバート・クラウス 文、ホセ・アルエゴ 絵、今村葦子 訳、1365円(あすなろ書房)
レオは何をするのも下手くそです。字を書くことも読むことも、話すことも。そんなレオを心配するお父さんに、お母さんは、「このこは、おそざきの、はななの。あとで、りっぱなはなが、さきますよ」と、言います。
それでも、心配するお父さんは、そっとレオを見守ります。そして、花開く時が来ます。子どもの成長をいまか、いまかと心配しながら物陰に隠れて見守っている父親像は私たちにも思い当たるところがあるのでは、と思わされます。
子どもの成長は楽しみだけれども、このままで大丈夫だろうかと、いくつになっても心配なものです。そんな親と子の様子を戯(おど)けた表情の父トラと、子どもを信頼している母親と、そしてかわいい子トラの、なんとも温もりのある絵と、そして文でしょう。
子どもの成長はもとより、親もいっしょに成長しなさいと、言われているような気さえします。お子さんはもちろん、お父さん、お母さんにも、ぜひとも、ご覧になってもらいたい絵本だと思います。(奈良子どもの本連絡会・浜川和子ひこはな絵本の会代表)
【幼児から小学校中学年】※対象年齢はあくまで参考です。
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絵本のまど<99> 2006年1月31日(火)付より
「アラスカたんけん記」
星野道夫 文・写真、1365円(福音館書店)
何度も開いてみますが、その都度新鮮で、とっても美しいのです。アラスカのエスキモーの人たちのやさしさ、野生動物との共生、果てしない草原と山、雪と氷に寄せる作者の深い「愛」を感じる写真集です。
19歳の時に出合った1冊の本からご自身の夢を見つけ、生涯その夢を追い求められたことに感動します。そして、人間1人の存在は小さいものですが夢と向き合って生きる人は大きな仕事をするものだと教えられます。
気の遠くなるような静かな雪原にたった1人で降り立った時「生命のかけらさえ見当たらなかった」と書かれていますが、その勇気に思わず拍手を送りました。全神経と五感をフル活動させて撮影された写真からは、風の音や香りを、野生動物の表情からは笑みを、感じるのです。
「この地球は不思議な力を持っていますょ」「豊かな地球は私たちを優しく包んでくれますょ」「もっともっと我慢することを覚えましょうょ」と、星野さんの声が私には聞こえてくるのです。(奈良子どもの本連絡会・金田幸)
【小学中学年向き】※対象年齢はあくまで参考です。
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絵本のまど<100> 2006年2月7日(火)付より
「ガオ」
田島征三 作、840円(福音館書店)
ある日、一匹の元気な山イヌが、力いっぱい吠えたくなりました…「ガオ!」…。すると…山イヌの体から元気がとび出して、大きな恐ろしいトリになり、体は六匹の小さなヘビになりました。そして、大きな恐ろしいトリは、小さなヘビをペロリ、ゴクンと食べ始めたのです…。
伊豆の山里にこもって作品の制作を続けている田島征三さんの、これは4年ぶりに生まれた絵本だそうです。木の実を使った、鮮やかなコラージュで、ダイナミックに、繊細に、不思議に満ちたドラマが展開されています。
そのおはなしには、いろんな謎が見え隠れしています。感じとった謎を解きたくなったら、揺るがされたその感性を大切に、あたためていてください。謎を解くカギが見つかるにつれて、あなたの物語も紡がれていくでしょう。
子どもたちは、目をみはって聞き入ってくれます。が、神話性をはらむこの絵本は、大人にも味わっていただきたい1冊です。(奈良子どもの本連絡会・安場阿弥美)
【3歳から】※対象年齢はあくまで参考です。
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