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子どもも大人も世代を超えて楽しめる絵本の世界。絵本を開くひとときは、すべての人の心を豊かに育(はぐく)むもの。「絵本のまど」は数多くの本の中から、これはと思う1冊を新旧を問わず紹介します。末尾に記した対象年齢はあくまで参考。あなたの読み聞かせで、ぜひ、小さな人たちに優れた絵本と出合う機会をつくってあげてください。

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絵本のまど<1> 2004年2月10日(火)付より
『どうぶつ句会』
あべ弘士 著、本体1,200円(学研)
俳句歴30年の雪野袋さんが代表を務める句会「ゆきだるま」。鳩野ポッポ(ハト)、北風コンザブロー(キツネ)、大耳はな(ゾウ)たち俳句仲間が集まって四季折々の句会を開きます。
「サワガニとじゃんけんするときグーを出す」(コンザブロー)「ふるさとは春はないのよ夏ばかり」(アフリカ生まれのはな)とユーモアあふれる一句から「土筆(つくし)んぼ春一番の便り書く」(ポッポ)なんて「技あり」の作品まで。動物たちの俳句は季語もしっかり入っていて大人も楽しめます。
五七五は日本語の「音」が一番映えるリズム。俳句は日本語の良さを子どもたちに伝えるのに最も適した形式かもしれません。
長年動物園の飼育係として動物たちとふれあった著者は、楽しい会話と俳句に季節感たっぷりの絵を添えました。
【小学校低学年から】※対象年齢はあくまで参考です。 |
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絵本のまど<2> 2004年2月17日(火)付より
『かまきりっこ』
近藤薫美子 著、税込み1,500円(アリス館)
その朝生まれた219匹のカマキリの子どもたち。画面いっぱい、虫たちの視線で描かれた草原をじっと見つめるとカタツムリやテントウムシたちに交じって小さな兄弟たちが見つかる。
さて次のページ。同じく平和な草原の風景、と思ったら、画面の下に一行添えられた文章は「そろって やもりのくちのなか」。ええっ?
そう、自然の営みの中で、子どもたちが次々と淘汰(とうた)されていくのは実に「平和」なことなのだ。そして、最後に残った一匹のメス。「彼女」は淡々と次の世代を残し、季節はめぐりめぐっていく―。
子どもの本には珍しいテーマをあるがままに、独特のユーモアを交えて描く著者の世界は「生命は大切」と何千回口に出すより、よほど説得力がある。
ある保育園では、葉っぱや花びらのかげに無数の虫たちの生態が描き込まれた絵を1、2歳児がいつまでも興味深くながめているそうだ。
【4、5歳から】※対象年齢はあくまで参考です。
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絵本のまど<3> 2004年2月24日(火)付より
『おまえ うまそうだな』
宮西達也 著、本体1,200円(ポプラ社)
登場人物(恐竜?)は恐竜時代の終わりの方に実在したティラノサウルスとアンキロサウルス。「世界最強の肉食恐竜」ティラノサウルスとアンキロサウルスの子どもは、毎日、火山が噴火して、地面がぐらぐら揺れている地球の上で出会った。
アンキロを食べようとした瞬間、何も知らない子どもに「おとうさん!」としがみつかれたティラノ。それからは、小さなアンキロをほかの恐竜から守ってやったり、ほえ方を教えてやったり。でも、そんな日はいつまでも続かない。さびしさをおさえて「子別れ」するティラノ―。父と子のストーリーは大人の心にもじーんとくる。
舌をかみそうな恐竜の名前やそれぞれの特徴をすっかり暗記している「小さな恐竜博士」にお目にかかることがある。「博士」たちは恐竜の絵にひかれて手に取ったこの本から、生まれて初めての「せつない気持ち」を知るかもしれない。
【幼児から】※対象年齢はあくまで参考です。
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絵本のまど<4> 2004年3月2日(火)付より
『ねないこ だれだ』
せな けいこ 著、税込み630円(福音館)
「ドロン、パッ!」。万国共通のおばけポーズ(?)でニタリと笑う、せなさんの切り絵おばけにはこんなせりふが似合いそう―。フクロウやミミズク、ドラネコ、ネズミにどろぼうまで。「夜行性」の仲間たちが生き生きと闊歩(かっぽ)する闇の世界は、1歳前の赤ちゃんの興味もしっかりとひきつける。
初版は昭和44年。現在までに125刷、170万部発行はかなりな数だ。1冊でも入手できるが、せなさん作の「にんじん」「もじゃもじゃ」「いやだいやだ」を合わせた4冊セット(税込み2,520円)の人気も続いている。
夜ふかし小学生の耳元でそっーと「とけいがなります ボン ボン ボン―」。「やめてよ、こわいなー」。しぶしぶテレビゲームを消して布団に向かう姿を見たりすると「幼児期に出会った絵本とのご縁は、一生もの」と実感する。
【読み聞かせは1歳半から】※対象年齢はあくまで参考です。
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絵本のまど<5> 2004年3月9日(火)付より
『じゅげむ』
川端誠 著、本体1,200円(クレヨンハウス)
「じゅげむじゅげむ、ごこうのすりきれ―」。子どもの長生きを願ってつけた、「日本一おめでたくて、長ーい名前」が巻き起こす騒動がテーマの有名な古典落語を絵本にした。落語の世界にぴったりな絵と「下町の話し言葉」の楽しさを最大限に引き出す川端さんの語り口に、読み聞かせする大人もはまる。
「じゅげむ」の暗誦人口は昨年4月に始まった、NHK教育テレビの「にほんごであそぼ」で取り上げられてから一気に増えたが、この作品が最初に発表されたのは平成9年。川端さんの落語絵本は「ばけものつかい」「まんじゅうこわい」「はつてんじん」「おにのめん」「めぐろのさんま」「たのきゅう」、最新刊「いちがんこく」と現在8冊。
長ーい名前をすらすら言うだけでも楽しいが、絵本を読んで由来を知るともっと楽しい。ちなみに、抽象画の巨匠ピカソも先祖の良い名前をズラリと並べた「寿限無」に負けない長ーい名前だったとか。
【4、5歳から】※対象年齢はあくまで参考です。
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