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倭 文 神 社
〜大蛇の言い伝え脈々と〜
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奈良市西九条町、倭文(しずり)神社の秋祭り「蛇祭り」の神饌(しんせん)「人身御供(ひとみごく)」には言い伝えがある。
その昔、村には、大蛇のいけにえとして毎年幼児を神前に捧げる風習があった。あるとき、いけにえの順番の巡ってきた家族に話を聞いた高僧(弘法大師とも、理源大師とも言われる)が、子どもの代わりに人身御供に。 |
里イモの人形やズイキのヘビも付けられる神饌「人身御供」
(奈良市西九条町の倭文神社で)
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大蛇の体内に飲み込まれた高僧は、腹の中から大蛇を3つに切り裂いて退治したという。その後、神前には人の形に似せた神饌が供えられることになった。
人身御供の胴体は、麦わらを束ねたもの。胴の周囲に長方形のモチを木のくしで刺していく。モチを刺す段数は五段、四段、三段があり、五段が10個、四、三段はそれぞれ1個ずつ作られる。胴囲のモチを刺し終わると、ヒノキの葉をかぶせ、十字に組んだ長いモチ、ワカメが順に重ねられる。その上に人形(ひとがた)が乗せられ、仕上げに御幣(ごへい)が突き立てられる。
人形の顔は、たてに切った里イモ。切断面に「へのへのもへ」の目鼻が書き入れられる。この顔面部と、十字に結んだ木のくしに和紙の着物を着せた胴体を合体させて人形は完成。それぞれの御供の中心に据えられると、御供全体に人らしさが増す。
御供の中で、モチを三段に張り付けたものにはヘビが、四段のものには3つまたの竹枝に刺したミョウガが加えられる。
ズイキ(サトイモの茎)で作られたヘビは、口を開き、獲物を狙っているような姿。目やうろこが書き入れられ、口の中に舌を模した赤い紙が張り付けられると、今にも人形に食い付きそうな躍動感が生まれた。
祭りの当日には、かわいらしい神饌も用意される。土御供、花御供と呼ばれる手のひらに乗る神饌がそれだ。
盃(さかずき)、祭花(キク)、ヤナギバシ、ナス、飯が、それぞれ彩色した和紙を巻いて水引きをほどこした粘土製の高杯(たかつき)などの上に乗せられる。それでも高さは数センチ程度。ままごと遊びで使われるほどの大きさだ。
こうした御供を作る明神講には、材料や作り方を記した文書がきちんと受け継がれている。製作に携わった人々は、軽口を交わしながらも、しっかりと文書で形状を確認しつつ、伝統の御供に仕上げていった。
祭りの日、人身御供は、竹と麦わらで作られた体長5メートルほどのヘビとともに町内を巡行したあと、本社、若宮、蛇塚、時風(ときかぜ)神社にそれぞれ供えられた。
麦わらヘビに火を放つ大蛇退治や、扇に矢の刺さる早さを競う風変わりな角力(すもう)も行われる蛇祭り。祭りの最中、境内には笑い声が絶えなかった。幼児を人身御供として捧げていたころには見られなかっだろう、なごやかな祭りの姿がそこにはあった。

小さく愛らしい姿の土御供、花御供
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