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奈良市東九条町の八幡(はちまん)神社の秋祭りを彩る神饌(せん)「花御供(ごく)」。名前通りの華やかな神饌の細部を見るにつけ、奥深さと愛らしさが伝わってくる。
御幣(ごへい)が付いた最も派手な御供の胴体となるのは、束ねた麦わら。この周囲に木ぐしで3段にわたってモチが刺される。上部には長モチを十字に置き、ヒノキの葉を乗せたあと、さらに丸い笠モチを重ねる。 |
さまざまな種類があり華やかさにあふれる花御供
(奈良市東九条町の八幡神社で)
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笠モチの上からは無数の長いくしが突き立てられ、くしの先にはクリやカキ、ザクロといった秋の収穫物。鳥の形にかたどられたミョウガもかわいらしく、ついつい笑顔がこぼれてくる。
五色の御幣は、御供の存在を一層引き立てているが、御幣も一般的なものとはひと味違う。4つの宮座それぞれに個性的な文様が加えられているのだ。ある宮座はひょうたん形を、あるところは何ヵ所もの切り込みを入れた長方形の紙を御幣の上部にあしらう。このため、御幣のデザインを見ただけで、どの宮座が作った御供なのかを判別することができる。ただし、末端の部分はどれも同じ。神社名を示す「八」の字が見事に形抜きされている。
このほかにも、笠モチをかぶった麦わらの胴体に2本の矢を垂直に付き立て、胴まわりを矢で飾った「矢御供」や、笠モチ部までは同じで御幣の付いていない御供、稲穂を立て掛けた米俵、花や野菜を1つずつ用いたおもちゃのような小御供など、個性的な神饌が神前をにぎわす。供えられる神饌の種類は宮座によって多少異なるが、どれも心を尽くしたぜいたくさだ。
神饌をめぐっては、御供を飾るモチ作りの方法が杵(きね)での千本づきから機械製造になったり、神社で1年間に消費する分を供えた米の量が形式だけになったりと、時の流れの中で変化せざるを得なかった部分もある。けれども、神饌を供える位置が宮座ごとに厳然と決まっている点や、独特の御幣の形状などは昔から何ら変わっていない。もちろん、人々が神に感謝し、祈る姿もだ。
祭りの日には、古代装束の宮座代表をはじめ、稚児の行列や子どもみこしなどが神社周辺を巡行し、祭りに花を添えた。神社に鎮座する神は、心尽くしの食事を味わいながら、祭りに集い、笑顔をこぼす人々の姿に表情を柔らげたに違いない。

宮座ごとに独特の形状がある御幣や
鳥形のミョウガにも味わいが感じられる
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