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談 山 神 社
〜華麗に豊富に里の産物〜
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見る人が「芸術的」と形容する桜井市多武峰、談山(たんざん)神社の特別な神饌(せん)「百味(ひゃくみ)の御食(おんじき)」。色彩、文様、形状のどれをとっても華麗というほかはない。秋祭りにあたる嘉吉(かきつ)祭で供えられるこの神饌は、神社にほど近い地元の13戸の人々によって守り継がれている。
嘉吉祭は、室町時代、戦火を逃れて橘寺へ移っていた神霊が、嘉吉元(1441)年に戻ったことを祝って始まった。古くは200種近くあったとされる御食の食材だが、現在はギンナン、ブドウガキ、サトイモ、ピーマン、クリ、ナス、リンゴ、スダチなど35種ほどになっている。 |
芸術品と形容される和稲と荒稲=右端=
(桜井市多武峰の談山神社で)
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これらの産物は、ミョウガの葉をまとめた芯(しん)にクシで刺して神饌として形作られていくが、上部にふくらみをつけるのが特徴。地元の人によれば「陰茎」をかたどっているとも伝えられ、さらに多くの産物が生み出されるようにとの願いがこめられているらしい。
それだけに、仕事を終えて集会所に集まった各人とも、角度を変えて確認したり、何度も刺し直したりしながら、夜ふけまで納得のいく形に整えていく。
特に目を引くのが「和稲(にぎしね)」と「荒稲(あらしね)」。「和稲」は、赤、青、黄の食用紅で染めた米粒が、1周42粒70段にわたって米のりで心棒に張り付けられる。42粒なのは、同神社が寺であったころ、塔頭(たっちゅう)が42寺院あったからとか。
米は漫然と張られているのではなく、「卍」型や「△」型、ひし形などが連続する文様を美しくデザイン。上部には5色に染められた、家の
たる木を表わす長方形のもちが数本付けられる。上方に反っている方がいいらしく、「蔵もち」になるほどの家の繁栄を祈願したものという。
「荒稲」は、芒(のぎ)がついた粳(うるち)を使った白穂と、モチ米を使った黒穂がある。白穂には榧(かや)の実が、黒穂には銀杏(ぎんなん)が下部に付けられ、それぞれ天頂にはホオズキを添える。毛が逆立ったような荒々しい形状から「毛御供(ごく)」とも呼ばれている。
以前は、すべて山里で採取した産物を利用していたことから、数日間野山を駆けることもあったとか。さすがに今では、里の産物ばかりではなくなった。けれども、祭神・藤原鎌足像の周りに置かれた量、質ともに豊かな神饌を目の当たりにするとき、祭りに込めた人々の想(おも)いは何ら変わっていないと感じられた。神霊が戻ってきたことを心の底から喜び、あふれんばかりの美しい神饌を供えずにはいられなかった人々の想いが重なる。

質、量ともに豊かな百味の御食
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