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もくじ

奈良のふるさとのはなし

三つの問題
鹿殺し裁判


のせがわのむかしばなし

蕎麦の軸の赤いわけ
天狗の扇
蟹の報恵
ふくろうの染物屋と烏
(野迫川村要覧より)

悲運の皇子 自天皇

-その1-
-その2-
(川上村「後南朝と川上村」より)


十津川妖怪譚

だる:ダル
天狗:テング
ごうら:ゴウラ
山女郎:ヤマジョウロ
 山姥:ヤマンバ

一本だたら:イッポンダタラ
山小屋の怪異:ヤマゴヤノカイイ

「神饌」神々との宴

1.往 馬 大 社
2.門 僕 神 社
3.談 山 神 社
4.八 幡 神 社
5.倭 文 神 社
6.高 山 八 幡 宮


その他のおはなし

四社神社秋祭り
安堵町・なもで踊り

日本の造林王

・土倉庄三郎


東吉野が育んだ秀句紀行

・「原 石鼎」

奈良のおはなし

「神饌」神々との宴
-1-

往 馬 大 社
~土台はコモクサのカメ~

 

 人々が神の存在を意識する祭りには、神事の様式や奉納芸能などさまざまな要素がある。神への供物である神饌(しんせん)もその1つ。そこには神を喜ばせ、より楽しんでもらおうとする人々の感謝と尊敬の思いがこもっている。このため、祭りのために特別に作られる神饌も少なくない。ただ不思議なことに、それらの形状や用いられる材料の由来は、よく分からないものがほとんど。けれども、神の関心を引くかのように一層の手間がかけられた神饌は、美しく、輝きに満ちている。

 生駒市壱分町、往馬大社の秋祭りでの特別な神饌は、「火の御供(ごく)」と呼ばれる。

 御供を作る主要な材料はコモクサ。まず、かまで煮て柔らかくしたコモクサで、直径10センチ程度のドーナツ状の主台が作られる。この周囲に直径約5センチの輪が5つ取り付けられて土台は完成。その形から「カメ」の名が付けられている。カメが首を出し、両手足を伸ばした姿に似ているかららしい。

御供の土台となるカメを製作する古老

御供の土台となるカメを製作する古老

 実は、このカメ作りが最も技術を要する。頭や手足になる輪は、左巻きにクサを綯(な)っていくため、形を整えるのが難しい。現在、美しいカメを作れるのは86歳の古老のほか数人を数えるばかりだ。

 カメの上には直径約6センチの皿が置かれ、周りに長さ20~25センチの4本の竹ぐしが刺される。続いて、竹ぐしの内側で半円形の2枚の枠を合わせ、中に御飯を詰める。この御飯は適度な粘り気を持たすために、米とモチ米の比率が3対2の割合で炊かれている。

 次に、竹ぐしの外周をコモクサで下から順に巻いていく。周回ごとのコモクサの止め方も結び目が上向きの円形になるようにひねって止める独特の方法。上部まで巻き終わると、半円形の枠を慎重に抜く。上部に数本のコモクサを立てて固定し、天頂部にふたとなるズイキの葉をかぶせればほぼ出来上り。仕上げとして、頭に見立てた輪の部分にやなぎばしを差し込む。

 完成した御供は高さ30センチほどで、吉祥のカメが主食の米を背負ったおめでたい形。本祭の際には、5つの火の御供が、本殿とお渡りで祭神の分霊が乗る4台のみこしに捧げられる。

 こうした御供は、もともと寺域の各宮座ごとに、もっとたくさんあった。しかし、昭和30年代半ば、宮座の多くが解体。現在は上座の1つの形が残るだけになってしまった。

 御供が出来上がると、古老らは今年も無事やり終えたことにほっとした表情をのぞかせた。

 由来の知れない5つの火の御供は、翌日の出番を前に、うやうやしく台座に安置された。

完成した火の御供
完成した火の御供


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