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やまと建築詩

紀寺借家(奈良市)

築100年「伝統構法」伝える

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▲現代風に改装された台所。ここから室内全体が見渡せる

 県内はもとより近畿一円で広く用いられていた「伝統構法」がある。古くから日本に伝わる建築方法で、これを伝えるためNPO法人「古材文化の会」は、大正初期に建てられた築約100年の奈良市内の借家を改修し現代によみがえった。

 昭和25年の建築基準法制定以前に建てられた伝統構法による町家や民家は、耐震の面などからも修繕や改修が必要になっている。この構法を知るため、国土交通省の補助を受け、改修と改修技術を学ぶ連続講座を行ったのは「古材文化の会」副会長で1級建築士の藤岡龍介さんら。


▲現代の住宅では珍しい
大きな床


▲アルミサッシではない木の窓。
暖かな光とともに木のぬくもりも感じさせる縁側

 「教材」として使ったのが奈良市紀寺町の借家住宅。同市の「奈良町」周辺では、大正から昭和初期にかけて、田畑を開発し長屋や借家が多く建てられた。「紀寺借家」も大正元年に建てられた。

 通り庭を持たない農家風間取りの平屋建て。式台を持つ玄関の左手には土間で台所に。玄関を入ると食い違い四間取りの座敷で、食い違い部分を利用して玄関の次の間から3つの部屋のどこにも入れるのが特徴。


▲現代の借家では望めない広い庭。
古き良き日本の住宅を見て住みたいという人が
多いのも分かる


▲特徴ある食い違い4間取りの居室。
このおかげで玄関の次の間からどの部屋にも
アクセスできる

 20年以上空き家だったため、改修は基礎など傷んだ部分は古材を使って補修。土壁を厚く、屋根を軽くするなど耐震補強も行った。風呂がなかったが、トイレ奥に離れとして新設するなど使いやすくなった。

 藤岡さんは「住む人のない古い建物が老朽化で壊され町並みが破壊されている。改修によって再び利用し、特色ある町並みを残してほしい」と話している。



DATA

紀寺借家(奈良市)

奈良市紀寺町779

建物は現在、公開していない。今後の活用方法は検討中

写真・文 本紙・藤井博信 (日本写真家協会会員)


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