
沢ワサビ(野迫川村) ■24■
厳冬に耐え味わい深く

標高4,500メートルという山間の気候風土と谷の清流が育むワサビ。野迫川村や十津川村は近畿でも数少ない産地で、特に野迫川村では5軒の生産者が年間約1トンのワサビを出荷している。
沢ワサビを育てるには、夏と冬の温度差が少ない水が適しており、冷たい谷水は、水温が11度前後と低い。ワサビ栽培の盛んな静岡県伊豆半島よりもずっと厳しい冬を越す野迫川村産は「中身がぎゅっと締まって、すりおろした時に水気が少ない」のが特徴という。
同村では、約30年前から、林業の副業にと盛んに栽培されるようになった。15年ほど前をピークに、近年では生産者の高齢化や後継者の都市部流出が進み休耕田が増えた。13軒あった農家は4軒まで減ったことも。5年前に県南部農林振興事務所の後押しで「野迫川沢わさびを守る会」を結成。「休耕田を復活させよう」と、県内外から参加したボランティアとともに一部のワサビ田がよみがえった。
伯母子岳のふもとを流れる清らかな流れ。自然の沢の傾斜を利用して石などで組んだ段々畑に谷水を引き込んで育てる。プラスチックの箱栽培もできるが、村では昔ながらの方法で育てる。ここで2年間ほど栽培し収穫するが、雪の積もる冬以外は通年行っている。無農薬で中身の詰まった野迫川産は高級品として多くのそば店で重宝されている。
写真・文 本紙・藤井博信 (日本写真家協会会員) |