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やまと建築詩

海石榴庵鍛冶屋の窯(桜井市)

築200年、息づく職人技

MainPhoto

▲玄関横から上がるツシ2階はもとは鍛冶屋の職人が寝起きしていた場所。
狭いスペースを有効に使い今は、ここにも作品が並ぶ(合成パノラマ撮影

 陶芸家の梅田幸二さん(57)は、築200年にもなる桜井市の生家をギャラリー兼工房として活用している。「鍛冶屋の窯」と名づけられた窯は、梅田家が代々野鍛冶(のかじ)だったため。「同じ火を使う仕事だから」と鍛冶屋の名を窯に取り入れた。ギャラリーは付近にあった古代の市「海石榴市(つばいち)」に由来。

 先祖は和歌山方面から移ってきたと伝わり、分かっているだけでも梅田さんの父親まで八代にわたって鍛冶屋を営んできた。野鍛冶なので、主に鍬(くわ)や、わらなどを切る「押し切り」を作っていた。


▲戦後しばらくの間使われていた
鍛冶屋時代の機械が残る
鍛冶屋の窯の工房内部。
奥には焼き物を作る窯も見える

▲ギャラリーに敷き詰められた瓦は
納屋などに使われていた古いもの

 陶芸家の道は平成14年から。勤めていた中学校を辞めて始めた。20年間独学で覚えた技を用い、ガスや電気ではなく薪を使い、素材を生かした作品には、窯変(ようへん)の作品も。

 三輪山麓(さんろく)とという立地。長屋門を北に入ると左斜めに通路があり奥には主屋でギャラリーとして使っている海石榴庵(つばきあん)。主屋東には南から順に炭納屋、トイレと風呂、漬物小屋が並び、同西側には納屋、鍛冶場、米蔵など。裏には蔵が建つ。

 今から6代前、江戸末期ごろの建築と推測されるが、納屋の屋根瓦に天保14(1843)年初春の文字があるため。50年ほど前に起きた桜井の大火でも焼け残った。


▲ミセノマやザシキにも作品が並ぶ室内

▲竹やぶの緑と新しい瓦屋根が
まぶしい海石榴庵


 主屋は田の字型の四間取り。ドマを入って右手は展示スペースで、元はナンドのようなスペースだったよう。左手にミセノマ、ザシキと続く。ドマ奥にはカマドも。左手はダイドコロ、ナンドと続く。ナンドの上はつし2階で元は鍛冶屋の職人の部屋。つし2階はほかにも2カ所設けられている。

 6年前、大半の建物は屋根のふき替えなどが行われ美しくよみがえった。時の止まったような室内で陶芸作品を鑑賞できる。また、作業場には戦後しばらく使われていた鍛冶屋の機械などもあり往時の名残をとどめる。



DATA

● 海石榴庵(つばきあん)・鍛冶屋の窯(梅田邸) ●

桜井市金屋636

陶芸家梅田幸二さんの作品を展示する個人ギャラリー

入場無料

開館時間は午前10時から午後5時まで。定休日はないが事前に連絡を。

※陶芸教室も行っている

電話:0744(45)3021

情報が古くなっている場合がございますので、ご利用の際は必ず事前にお問い合わせください。

写真・文 本紙・藤井博信 (日本写真家協会会員)

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