
香りごぼう(五條市) ■21■
1本1本、手間かけて

その土地で培われてきた伝統野菜は郷土料理とも深くかかわり、昔から代々受け継がれてきたものだ。形が良く、大量生産にも向く規格品の野菜が増えるなか、地産地消が呼びかけられるとともに地場産の野菜が見直されるようになった。県は奈良ブランド14品目を「大和野菜」として平成17年に選定した。
戦前から生産されていた「大和まな」や「ひもとうがらし」など10品を「大和の伝統野菜」、栽培や収穫に手間を掛けた「大和のこだわり野菜」には「大和ふとねぎ」や「半白きゅうり」など4品を選んだ。香りごぼうは、こだわり野菜の1品目。
食物繊維を多く含むゴボウは、ヨーロッパやシベリア、中国に分布し、日本には数百年前に薬として中国から入った。だがゴボウを料理に使うのは日本と台湾だけで、欧米人から見ると珍しい野菜だという。香りごぼうは、普通のゴボウより根の部分が短いのが特徴。その名の通り、香りが豊かだ。
五條市にあるJAならけん北宇智ごぼう組合(植森建之組合長)の組合員12人が生産している。ゴボウは砂地を含んだ水はけのいい土地を好むため、吉野川の河岸段丘にある北宇智地区が適している。9月中旬に種まきを行い3月下旬から5月末までが収穫期。品種は前半は「サラダごぼう」で後半は「山田早生」。いずれも雑草に弱く、冬場も草むしりを絶やすことができないという。
収穫後は1本1本、丁寧に近くの小川で水洗い。茎を10cmほどにカットして袋詰めされる。どの作業にも手間をかけた高品質なゴボウだ。出荷は県中央卸売市場を経由して主に県内の大手スーパーに並ぶ。
見慣れない形のゴボウで初めて名前を聞く人も多いだろう。植森組合長は「柔らかさと香りが自慢。アクが少ないので水にさらすだけでサラダとして生でも食べられます。ほかに、きんぴらごぼうや天ぷら、茎の煮付けなどもおいしい」と話している。
写真・文 本紙・藤井博信 (日本写真家協会会員)
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