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やまと建築詩

「まちや館」 旧辻家住宅(五條市)

白壁映える町の“象徴”

MainPhoto

▲主屋から離れ座敷に続く渡り廊下は幅広く、
中庭からは明るい光が差し込む

 江戸時代の町家が多く残る五條市の新町通り。旧紀州街道が通り、道の両側に古い町並みが続いている。最近は橿原市の今井町や宇陀市の松山地区などと並び町並み散策に訪れる人も増えているという。旧辻家住宅もこの通りに面している。

 つし2階建てで2階壁面や軒裏をしっくいで厚く塗り上げた家々が並ぶ。これは元禄16(1703)年の大火や、延享3(1746)年の新町西町の大火など、大きな火災を乗り越えてきた経験による防火の知恵。享和2(1802)年には五條市中の水害などもあり、建物はその都度建て直された。だから建物をいくつかの年代に分けることができる。

▲箱階段が置かれた座敷。
奥の部屋のほうが床が一段高くなっている

▲座敷の天井には2階を支える太いはりが見える



▲白しっくいが塗り込められた蔵造りの外観は
防火の役割を果たす


 主屋は伝統的な町家建築の様式をとることなどから江戸時代末期ごろの建物と推測されている。広い敷地内には「離れ」「離れ座敷」二棟の「蔵」が並ぶ。慶応2(1866)年の「商売人名表」によると、「油屋」の屋号の米商。また、司法大臣や法務大臣、保安庁(自衛隊の前身)の初代長官などを歴任した木村篤太郎氏の生家でもある。

 30年以上空き家となり荒れていたため、五條市が建物部分を所有者から譲り受け3年がかりで改修。新町通りの拠点施設として平成17年に「まちや館」オープンした。

 防火のために蔵造でできているため、しっくいの白壁と濃いグレーの瓦のコントラストが春の光に反射してまぶしい。館内はできるかぎり当時のまま修復されている。


▲離れには木村篤太郎さんが幼い時に使った2畳ほどの勉強部屋を再現


 主屋は通りに沿って「ミセノマ」「オクミセ」「カミミセ」と三間並び、二間取りの「ザシキ」が「ドマ」と接する。「カミミセ」から離れ座敷には幅の広い渡り廊下がつながる。8畳の「ザシキ」は一段高く客間として使われたようだ。6畳の「ザシキ」には箱階段があり、トコのある「ザシキ」やイタノマ、荷揚げ場などがある2階へ通じる。また、「ドマ」奥の「ダイドコロ」から外に出ると中庭を挟んで離れがあり、この一角に2畳ほどの木村氏の勉強部屋がある。

 変形した敷地に合わせたため、主屋の西側壁は湾曲し、南西の角は直角でなく鋭角になっているなど特徴も多い。館内には木村氏ゆかりの手紙や写真などの品々も展示されている。



DATA

● 「まちや館」旧辻家住宅 ●

五條市本町2丁目6の6

休館日は毎週月曜日と木曜日、年末年始。開館時間は午前時から午後4時まで

入館料は大人200円、小・中学生100円

「建物そのものが展示物」として江戸時代の伝統的な町家建築や井戸、かまど、箱階段などを見ることができる。見学は建物1階部分になる

問い合わせは同館、電話07472(3)2203

情報が古くなっている場合がございますので、ご利用の際は必ず事前にお問い合わせください。

写真・文 本紙・藤井博信 (日本写真家協会会員)

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