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農のある風景

つるし柿(五條市) ■18■

冷風受けて大和の味に

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 鏡餅(もち)やしめ縄など正月の飾り物に使われる串(くし)柿や干し柿。近年は、健康食品や菓子の材料として注目されている。柿の産地として全国に知られる五條市で作られるつるし柿も、和菓子の加工材料として人気が出ている。

 同市南部、旧西吉野村を中心に広がる柿畑には山の斜面に刀根早生や富有柿などの木々が植わる。所々にひときわ高い柿の古木が見られるのは法蓮坊(ほうれんぼう)柿といわれる小粒の渋柿。品種改良されたものと違い、何百年もの長い間、つるし柿作りとともに守られてきた古い種類だ。

 柿の実から伸びる枝を残し、ひもを掛けてつるすのが特徴。作業は柿の大木にはしごをかけて登り、鈴なりに実った枝ごと収穫することから始まる。ハサミで一つずつ切り離し、枝を残してへたを取る。大中小と大きさを分け、皮をむく。地元では「はだける」と呼ぶ軸にひもを通す作業を経て、やっとつるし柿らしくなる。最後に熱湯に浸けて表面の渋をとり外で干す。冷涼な冬の乾燥した風が上質なものに仕上げる。

 「色は黒いが味見ておくれ、味は大和のつるし柿」とうたわれた伝統の干し柿だが、やはり色鮮やかなものが好まれるようだ。

 同市西吉野町平沼田では8軒の農家が生産している。夏が暑かった影響で例年より約1週間遅いスタートだった。いまは正月用が終了し、小粒の和菓子用の出荷が今月中旬ごろまで続く。1月になっても柿の木に実が残っているのはつるし柿の生産をやめた農家のもの。高所の作業は若手が嫌うという。後継者の不安もあるが、この冬も金剛山や吉野の山並みが見渡せる干し場にオレンジ色の柿が鮮やかに揺れた。



【写真】本紙: 藤井 博信(日本写真家協会会員)

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