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やまと建築詩

奈良少年刑務所(奈良市)

“古城”に受刑者の煉瓦

MainPhoto

▲西洋の城や宮殿のような奈良少年刑務所の正門。
以前は近くにあった遊園地と間違える人もあったとか

 奈良を代表する西洋建築として知られる。明治41年に建てられた煉瓦(れんが)造りの建物。重厚な中にもしゃれた造りで、各所に設けられたドームがヨーロッパの寺院や城郭にも見える。

 前身は、江戸時代から今の奈良女子大の辺りにあった奈良監獄。当時、監獄は罪人を懲らしめる牢屋(ろうや)と考えられていたが、海外から改善を指摘された明治政府が、欧米の新しい思想を取り入れ近代化させた。明治35年、司法省の営繕課長だった山下啓次郎氏がヨーロッパに渡り、欧州の監獄建築を視察。同34年に着工し7年かけて完成した。

▲構内には至るところに
煉瓦造りの建物が残る

▲江戸時代に使われていた
奈良奉行所の「牢屋」が
司法記念物として移築保存されている


 奈良を含め千葉や鹿児島など全国5カ所の監獄を新しい思想で建て替えた。奈良は戦後に少年刑務所になったが、現役で明治建築が残っているのはここだけ。

 ヨーロッパの古城を思わせる正門を入ると煉瓦造りの重厚な本館が現れる。ここは事務棟で、背面の壁を挟んで奥には放射状に並んだ5棟の居住棟。規則正しく格子のはまった2階建ての窓が並ぶ姿はまさに西洋の城郭。100年の歳月が本物の古城のような貫録を与え、外国にいるような錯覚さえ覚える。

▲ある角度から見ると教会のドーム
にも見える居住棟の接続部。
屋根上にはランタン(頂塔)風の処理が

▲正門とは違い重厚な面構えの本館も
2階建てで、事務部門が置かれる

▲放射状に延びる2階建ての居住棟も
もちろん煉瓦造り。100年の歳月がもたらす
風格により城郭のような美しさが


 居住棟をつなぐ中央部分は5つの建物の要となる場所。内部は部屋がない廊下のような存在というが、外観はランタン(頂塔)を載せたドームにも見える。銅板張りの丸屋根ではなく、日本瓦をふいた平面の屋根を組み合わせたものだが、ドームの丸窓(ブル・アイ)風に屋根窓(ドーマ・ウィンドー)を組み合わせた姿は教会建築をも思わせる。

 現在、どこの刑務所も同じだが世相を反映してか収容者は部屋の定員より多い。冷房はなく夏場は格子のある小さな窓から入る風に涼を求める。だが無機質なコンクリートにはない赤煉瓦のたたずまいは懐かしい。それも100年前の受刑者が焼いた煉瓦でできた建物には他にはない癒やしの力があるのでは。

 構内には江戸時代に使われていた奈良奉行所の牢屋が2棟、司法記念物として移築、保存されている。



DATA

● 奈良少年刑務所 ●

奈良市般若寺町18

施設は原則として非公開で表にある正門外観は見ることができる。

年1回行われる矯正展では本館前まで入ることができるほか、構内施設の見学会も行われる。

問い合わせは奈良少年刑務所、電話0742(22)4961

情報が古くなっている場合がございますので、ご利用の際は必ず事前にお問い合わせください。

写真・文 本紙・藤井博信 (日本写真家協会会員)

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