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農のある風景

梅雨の棚田(桜井市) ■12■

万葉集の故地に苗育つ

写真

 県内は平年より8日遅く梅雨入りした。ぐずつく天候とはいえ、田植えからほぼ1カ月を迎えた山間部の棚田では、次第に苗が成長している。「緑のダム」とも呼ばれる棚田には保水や洪水調整、地すべり防止などの保全機能やトンボやゲンゴロウ、カエルなど生き物が住める生態系保全のほか、人の心にやすらぎを与える役割もある。

 健全な営農の取り組みや維持管理、地域活性化を目指す「日本の棚田百選」(農林水産省選定)に、県内では明日香村稲淵の神奈備の郷(かんなびのさと)が選ばれている。平成8年から棚田オーナー制度と呼ぶ市民農園を開設し、地元農家とオーナー会ともに活発な活動を続けている。

 撮影地は桜井市吉隠(よなばり)地区。万葉集に「降る雪は あはにな降りそ 吉隠(よなばり)の 猪養(ゐかい)の岡の 寒からまくに」などと詠まれた故地。宇陀市榛原区と桜井市の境界に近い地域で、万葉集に吉名隠の表記がある。吉(よ)き隠(こも)り場や、「墾」を意味する「なばり」は肥沃(ひよく)な土地を指す。その名の通り、この土地ではずっと稲を植えていたのだろうか。

 梅雨の夕暮れ。残照に映えて水面が青く光る。あぜ道はきれいに草刈りが行われ、よく手入れされた棚田。丁寧に作られた米はさぞおいしいことだろう。


【写真】本紙: 藤井 博信(日本写真家協会会員)

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