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農のある風景

ワラビのハウス栽培(吉野町) ■9■

ひと手間かけた春の味

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 春を代表する山菜といえばワラビ。料亭などで欠かせない春の味覚を京都市場に向け「吉野町ワラビ生産組合」(真弓政文組合長)は、ビニールハウスを利用したワラビ(若芽)の促成栽培を行い出荷している。

 同組合で昭和59年に、全国で初めての取り組みとして始まったワラビの促成栽培。同60年から出荷を開始し現在、近畿で最も大きな産地として活躍している。当初5、6軒でスタートした生産農家は現在14軒。栽培面積は約1.3ヘクタールで年間約2トンを出荷している。

 栽培に用いるのは天然の自生種で、ワラビの地下茎を採取してハウスで育てている。2月から3月にかけて、地面の温度が15度に達し根が動き出す前に地下茎を採取する。商品となる良質のワラビができるには約3年かかるといわれる。

 ハウスは12月ごろにビニールで覆い、早いもので1月から収穫が始まる。露地物が出回る4月ごろまで出荷が続く。

 同組合のワラビは品質が良いことで知られる。おがくずと牛糞(ふん)といった有機肥料を使うことやナメクジを除去するだけの無農薬栽培などに加え、選別作業に重点を置くことが功を奏した。茎が「の」の字に見え「熨斗(のし)」を連想させることから縁起物としても人気があるというワラビ。組合長の真弓さんは吉野町小名の殿川地区で、7棟のハウスで育てる。長いハウスは全長約50メートルにもなる。

 同町では稲作を中心にナス作りが盛んだった。標高約500メートルの殿川地区は戦後、食糧増産のために開かれた開拓地。「殿川スイカ」やトマト栽培も一時盛んだった。新しく栽培するものを探しているとき、県の農業試験場でワラビの促成栽培を研究している人がいることを知り実用化を目指すことになった。


【写真】本紙: 藤井 博信(日本写真家協会会員)

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