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農のある風景

山添村の山の神 ■7■

神様の蔵を開け福招く

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 山仕事の無事と安全を祈る「山の神祭り」。過疎化にともない各地で廃れてきているが、山添村では山で生計を立てている人がほとんどいなくなった現在でも世代を超えて100年以上も脈々と続けられている。

 毎年1月7日に行われる同村菅生の山の神祭り。地区の男性は全員いずれかの座にお参りしている。山の神は、素戔鳴尊(すさのおのみこと)の孫、大山咋命(おおやまくいのみこと)といわれているが、この地方では昔から山の神は女性の神と信じられ「女性が山の神の領域に入ると罰が当たる」など伝えられている。

 菅生地区は五つの小場(こば)と呼ばれる地域分けがされ、小場ごとにそれぞれ山の神を祭る。ご神体はそれぞれの峠にある小高い丘の頂上にある岩。「山の神」と刻まれた石もある。

 1月7日の祭りは、倉立て、鍵引き、モチ焼き、勧請(かんじょう)縄かけの順で行われる。早朝から各戸の男性が集まり、ご神体の脇にクワやクマデ、スキ、カマなど農林業で使う七つ道具のミニチュア(木製)と、墨書された刀を添える。半紙や笹竹などを使って山の神へのお供え物、倉立てをするが、各小場で形や、供える数が異なる。

 鍵引きは2メートル近い弓形の木で何かを引っ掛けるような所作。神様の蔵の扉を開け、自分たちのところに福が舞い込むようにと願う。鍵引きに用いる木には、わらで作った二またの房が付けられているが、これはホウデンと呼ばれ男性の睾丸(こうがん)を表したものといい、勧請縄にも付けられる。もち焼きは「直会(なおらい)」にあたりもちを食べる。勧請縄かけは小場によってあるところとないところがあり、架け方もさまざま。

 山の神は春、山から下りて田の神となり五穀豊穣(ごこくほうじょう)をもたらし、秋には山に入って山仕事をする人たちの安全を守るといわれる。山里の人たちは今もこの祭りを続ける。


【写真】本紙: 藤井 博信(日本写真家協会会員)

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